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若い医師が集う教室に

若い医師が集う教室に

熊本大学大学院生命科学研究部 消化器内科学講座
教授(たなか・やすひと)

1991年名古屋市立大学医学部卒業。
米国立保健研究所、名古屋市立大学病院肝疾患センター、
同大学大学院病態医科学講座教授などを経て、2020年から現職。

 名古屋市立大学で、肝臓に関する研究に打ち込み、多くの成果を挙げてきた。2020年6月、新たな挑戦を求めて熊本大学大学院生命科学研究部消化器内科学講座の教授に就任。新天地で取り組みたい研究、教室運営にかける思いを聞いた。

開かれた教室運営

 熊本大学大学院生命科学研究部の中で、消化器内科学講座は2003年に設立された比較的新しい教室だ。「若い医師たちが発言しやすい、開かれた雰囲気を目指したいと思っています。熊本大学は研究に強い大学。今後はもっと研究分野にも積極的に取り組みます」と田中靖人教授。

 就任に当たって掲げたのは「フィジシャンサイエンティスト(研究マインドを持った医師)」、そして「専門医の育成」。この教室の伝統を継承し、臨床と研究のどちらにも対応できる人材を育成したいという願いが根底にある。

 就任後は、まず一人ひとりと面談を行い、それぞれの強みや考え方など現状把握に努めたという。研究意欲が高いスタッフも多く、彼らを中心に、今後の消化器内科の方向性を決めて動き始めている。

 その一つとして、倫理委員会を通した上で、臨床検体を研究目的で保存する「バンキング」をすでに始めている。「将来の研究に必ず役に立つはずです。どう研究に生かすかは、すでにいくつか計画していますが、自分たちの将来の研究のための財産を蓄積していくという意識を共有したいと思います」

研究の幅を広げる

 これまで、HBV(B型肝炎ウイルス)感染・複製モデルを用いた創薬研究や肝疾患のゲノムワイド関連解析など、さまざまな研究成果を挙げてきた。現在は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の各種事業で研究開発代表者、日本肝臓学会理事などを務める。

 熊本大学では新しい研究分野に挑戦したいと語る。「肝臓疾患に深く関わってきましたが、消化器内科学発展の可能性を信じて、今後はもっと消化器全般に研究の幅を広げたいと思っています。熊本大学には伝統的な研究の基盤があり、今後もぜひ活用させていただきたい」

 多方面との連携にも積極的だ。「就任後のあいさつで、臨床や基礎研究の教室、附属研究所などで話をし、さまざまな共同研究の可能性を感じました。これまで全国の施設と一緒に共同研究をしてきた経験があるので、企業なども巻き込んで、発展的な研究につなげていきたいと思います」

これからは一年一年が勝負


 愛知県出身。自動車産業の影響が強い土地で生まれ育ち、自身もかつては電子工学を志望していた。高校3年生の時、父から突然「医者になれ」と一言。「実は、父も祖父より医師を勧められたそうですが、父は当時それを拒否。父はそれを、ずっと後悔していました」。そこで工学部と医学部と、両方を受験。結果的には医学部に進んだ。

 医学部では内視鏡治療に可能性を感じ、消化器内科を選択。病気の原因を調べ、それに基づいた治療をすることを信条としてきた。

 熊本大学に赴任して、これからは一年一年が勝負になってくるという。かつて目指した工学部にも注目する。「熊本大学は工学部も研究が盛んです。工学の分野では医療への応用が注目されており、社会に貢献できる研究を一緒にできたらと思っています」

 5年後のビジョンを尋ねると、対外的なアプローチを強くしたいという。「臨床を大切にしながらも、学会発表や論文発表を行い、シンポジウムの演者になれる人材を育てていきたい。まずは、症例で疑問に思ったことを逃さず、研究に発展させていくこと。じっくりと取り組んでいきたいと思います」


熊本市中央区本荘1-1-1 ☎096-344-2111(代表)
http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/gastro/

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