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良き医師を一人でも多く

良き医師を一人でも多く

大阪市立大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉病態学
角南 貴司子 教授(すなみ・きしこ)

1993年大阪市立大学医学部卒業。
独ルートビヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン留学、多根総合病院、
大阪市立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉病態学准教授などを経て、2019年から現職。

 2019年10月、耳鼻咽喉病態学講座の第7代教授に就任した。大阪生まれの大阪育ち。「大阪市民にとって一人でも多くの良い医師を育てたい」と目標を掲げる。後進のために今、伝えたい思いとは。

患者の言葉に耳を傾ける

 専門はめまいを中心とする神経耳科。高齢化によって、めまいを訴える患者は増加している一方で、めまいを専門とする医師は、少ないという。

 「日常生活が送れないような重症の患者さんの治療も課題ですが、軽微なめまいの患者さんの方が実際には多いにもかかわらず、見過ごされがちなことが問題です」と心を痛める。

 普段の生活に困らない程度の軽い症状だからといって「気のせいかも」と済ませるのではなく、一つ一つの症状を患者が納得できるよう説明し、改善に導いていきたいと語る。

 診療で心掛けているのは、とにかく話を聞くこと。「ただ耳を傾けるだけではなく、患者さんに何が起きているのかを把握することが大切です。1回の診療で終わらずに、検査を重ね、慎重に診断していきます」。患者自身が理解し、症状の知識を得ることで、病気と一緒に生きていく力が生まれてくる。

 中には、20年以上通院し続けている患者もおり、人生を共に生きているような気持ちになるという。

めまいの原因究明を

 父親が医師で、研究を主にしていたということもあり、研究者を目指し、医学部に進んだ。耳鼻科には、まったく興味がなかったという。ところが、実習先で出会った耳鼻科の医師の患者への真摯(しんし)な対応に、感銘を受けた。さらに、めまいに関する講義を受けたことで、人生が大きく変わる。

 「もともと脳神経の分野に興味はあったのですが、めまいの講義を聴くまでは、こんなに面白いとは思っていませんでした」。3回生からは、脳解剖の研究を続けた。「脳そのものはブラックボックスのように見えるのですが、一つ一つ解明していくと、なぜ頭がふわふわするのか、なぜ目が回るのか、めまいという一見分かりづらい症状の本質が、理路整然と見えてくる面白さがあると感じました」

前教授から託された思い

 教授だった井口広義先生が、病気のために逝去。亡くなる前に、「後は頼んだ」と言葉を掛けられたという。その1年ほど前から医局長として運営に関わっており、後任となった方がよいことも承知していた。しかし、自分に務まるのだろうかと、随分悩んだと明かす。

 力をくれたのは医局員や同僚たちの応援だ。背中を押され、心は決まった。

 教授就任に当たっては、何よりも大阪市民にとって一人でも良い医師を育てることが自身の目標と語る。

 「医局員には、国内外に積極的に留学してほしいですね。治療の知識や手術のスキルを得れば、それが医局の力になります。その医局員たちを全力でバックアップするのが私の役割だと思っています」

 これまで留学や研修などを通して、自身も目指すべき師に出会うことができた。「日本耳科学会の理事長も務められた山本悦生先生は、これまでに何千例という手術実績を重ねられています。お会いした時には、70歳を過ぎていらっしゃいましたが、『手術は今でも緊張するし、改善すべき点が見えてくる』とおっしゃったのには、頭が下がる思いがしました」

 治療に当たっては地域の医療機関との協力も欠かせない。「近隣の大学病院とも患者さんの行き来があり、お互いに助け合う体制ができています。患者さんに納得いただける治療を提案できるよう、これからも努めていきます」


大阪市阿倍野区旭町1-5-7 ☎️06-6645-2121(代表)
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/jibika/

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