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自分なりの視点を持って難しい疾患に立ち向かう

自分なりの視点を持って難しい疾患に立ち向かう

鳥取大学医学部脳神経医科学講座 脳神経内科学分野 花島 律子 教授(はなじま・りつこ)
1990年横浜市立大学医学部卒業、東京大学医学部附属病院神経内科入局。
カナダ・トロント・ウェスタン病院、北里大学医学部神経内科講師、同准教授などを経て、
2017年から現職。

 1962年に脳幹性疾患研究施設臨床生理部門として開設した鳥取大学医学部脳神経医科学講座。2年前、この伝統ある講座を引き継いだ花島律子教授に、講座の特徴や山陰の現状、そして今後について聞いた。

―講座の特徴を。

 脳神経内科は全国的には独立した科として病院に設けられるのは比較的少ない科ですが、鳥取では歴史があるため、地域内で脳神経内科医同志がお互いに支え合う文化が育まれています。疾患については脳から末梢神経に至るまで、扱う範囲が非常に広いのが特徴です。

 パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった指定難病の他、脳梗塞やてんかん、脳炎の救急にも対応し、認知症や頭痛、しびれなども扱います。〝地域の最後の砦(とりで)〟という意識でしっかり患者さんを診ることが第一と考えて、日々、行動しています。研究も範囲が広いので、各スタッフが自身の問題意識をもとに必要な研究をしているのが現状です。

 隠岐郡海士町での疫学調査は、1984年、健康調査の一環で行われた脳卒中や認知症の検診がきっかけで始まりました。その後、2000年代に入ってからは、認知症の実態調査として、頭部のMRI検査を実施。認知症など脳内疾患の患者さんが人口の中で何人くらいいるのか、また兆候がないかなど調査し続けることが、早期発見や早期治療につながっています。この研究は、海士町と保健師、町民の方々のおかげで継続できています。

 神経難病の多くは、最終的な診断の多くを病理に依存しているのが実態です。そこで私たちは、病理診断での確定を推し進めるとともに、生前診断に役立つバイオマーカーを探索しています。さらに、脳の活動状況を調べて脳内ネットワーク異常などを検出し、神経疾患の病態機序をひも解く神経生理学的研究にも、力を入れています。

―山陰の現状は。

 鳥取県はよく「人口のわりに脳神経内科医が多い」と言われるのですが、医師の年齢層の上昇、対象とする疾患の範囲の広さ、在宅医療への対応も必要なことから、医師数は十分とは言えません。高齢化の影響で、神経疾患の患者さんも増える傾向にあります。

 地域連携は、電子カルテを共有する「鳥取県地域医療連携ネットワーク(おしどりネット)」などを活用し、一層強化したいと考えます。

 講座としての役割の一つは、この地に、脳神経内科の専門医を輩出し続けることです。臨床に必要な専門的な知識と技術を身に付けた上で、研究の視点を持てるまでサポートしたいと思います。自分から積極的に医療を発展させられる視点が大事だと考え、外部から講師を招いて研究会を行うこともあります。後進には国内外問わず、学会で積極的に発表するよう促しています。

―今後の予定を。

 6月29日に米子で「第106回日本神経学会中国・四国地方会」の開催が予定されています。問題となる症例を神経内科医が集まって議論する貴重な場です。

 同時に生涯教育講演会がありますが、例えばパーキンソン病一つ取っても、治療法がだんだん変わり、知識をアップデートする必要があります。著名な先生をお呼びする予定ですので、いい機会になればと思っています。

 講座運営については、まず脳神経内科医の育成に力を入れて、地域の医療をきちんと守らなければならないというのが基本にあります。脳神経内科は難病を対象とするイメージが強く、手の施しようがないのではと若手に敬遠されることもありますが、そこにやりがいがあるのではないでしょうか。まだ病態も十分解明されていない脳や神経に関わる病気の検査法、治療法の開発や確立を目指したいと思っています。

鳥取大学医学部脳神経医科学講座 脳神経内科学分野
鳥取県米子市西町36―1
☎0859-33-1111(代表)
https://neurol.med.tottori-u.ac.jp/

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