九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

自分ができることを常に問い続けたい

自分ができることを常に問い続けたい


病院長(ごとう・ももかず)
1980年三重大学医学部卒業、1984年名古屋大学大学院医学研究課程修了。
碧南市民病院、名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学教授、同附属病院副病院長などを経て、
2020年から現職。

 

 尿路機能障害、再生医療、ロボット手術などの分野で活躍してきた後藤百万氏。2020年4月、中京病院の病院長に就任し、病院運営という新たな挑戦が始まった。常に「フォー・ザ・パブリック」の精神を持ち続けているという。

経験を積んだ碧南市民病院時代

 後藤氏は名古屋大学大学院医学研究課程修了後、カナダ・マクギル大学への留学を経て、帰国後の1988年に碧南市民病院へ赴任。当初は泌尿器科の常勤医が1人しかおらず、プレッシャーによって手術恐怖症も経験したと言うが、在籍した10年間で「臨床家として自信を付けた」と語る。

 「開院後しばらくは泌尿器科だけでなく、その他の科も常勤医は1人だけ。人手が足りないので、手術の際はみんなで協力しました。私自身、脳外科の開頭手術、産婦人科の帝王切開などを手伝ったことで、医師として大きな経験を得ました」

 病院長の奨励もあり、臨床研究にも精力的に取り組んだ。海外の学会に参加し、多くの論文を執筆した。

 「病院長は『臨床と研究は車の両輪である』と言われていました。両方を進めることで一人前の医師になれるという意味です。私も海外留学で研究の重要さを知り、通常の診療や手術と同時に臨床研究にも一生懸命に取り組みました」

排泄ケアや再生医療に注力

 後藤氏にとって碧南市民病院は居心地が良く、「そのまま骨を埋めるつもりでした」と言う。しかし、名古屋大学からの強い呼びかけで、1998年に再び母校へ戻った。そこで最初に取り組んだのが排泄(はいせつ)ケアの向上だ。

 「愛知県と共同で調査したところ、在宅介護を受けている人、高齢者施設にいる人の多くが本来不要のおむつや尿道カテーテルを付けていたのです。不適切な排泄ケアは、認知症や寝たきりにつながります。そこでNPO愛知排泄ケア研究会を立ち上げ、啓発活動とともに、排泄ケアの専門家『排泄機能指導士』の養成システムも整えました」

 もう一つ、後藤氏は尿失禁の再生医療でも大きな成果を残す。「2010年ごろ、当時の准教授が脂肪から取った再生細胞を腎臓再生に使う研究をしていました。それを私の専門である排尿障害と結びつけ、尿失禁の再生医療を研究し始めたのです。その後、2015年に医師主導治験が始まり、2019年3月で経過観察が終了。安全性などが確認され、現在は薬事承認を待っています」

職員一人ひとりをきめ細かくサポート

 2020年4月、後藤氏は中京病院の病院長に就任した。まだ慣れない部分もあると言うが、着実に病院運営の指針を定めつつある。

 「前任の絹川常郎先生のおかげもあり、病院の運営面で大きな問題はありません。優秀な職員がそろっており、モチベーションも高い。私がやるべきことは、まず彼らに最高のパフォーマンスをしてもらうこと。今後は職員それぞれの声を聞き、きめ細かくサポートしたいと思っています」

 さらに地域の中核病院として、医療連携の強化も視野に入れる。「当院は高度急性期医療の提供に加え、開業医の先生や小規模の病院、介護施設などと連携する役割も担っています。『地域包括ケアの要』として、今後も地域の皆さんの生活を支えたいですね」

 最後に後藤氏は「フォー・ザ・パブリック」という言葉を口にした。「これは名古屋大学総長の松尾清一先生がいつも言われていた言葉です。私も大学教授時代からこの言葉を意識してきました。地域社会などに対して、自分は何ができるのかを常に問いながら、これからの病院運営にまい進したいと思います」

独立行政法人地域医療機能推進機構 中京病院
名古屋市南区三条1-1-10 ☎️052-691-7151(代表)
https://chukyo.jcho.go.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

メニューを閉じる