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臨床・研究ともに追究し、専門性の高い教育を目指す

臨床・研究ともに追究し、専門性の高い教育を目指す

滋賀医科大学医学部 産科学婦人科学講座
教授(むらかみ・たかし)

1986年東北大学医学部卒業。
仙台市立病院、岩手県立宮古病院、東北大学大学院医学系研究科准教授などを経て、
2008年から現職。同附属病院手術部長、副院長兼任。

 滋賀県唯一の医学部であり、周産期、婦人科腫瘍、生殖医療、女性医学の4分野を担う滋賀医科大学医学部産科学婦人科学講座。臨床のみならず、慢性子宮内膜炎や帝王切開術後の瘢痕(はんこん)がもたらす症候群などの研究にも積極的に取り組む村上節教授に話を聞いた。

―講座の特徴は。

 周産期、婦人科腫瘍、不妊症などを扱う生殖医療、骨粗しょう症や子宮脱などを扱う女性医学の四つの分野すべてを網羅しています。医局員を増やし、臨床、研究ともに取り組める環境を整えています。

 がんの患者さんが長生きできる時代です。しかし、抗がん剤や放射線による治療を受けることで、卵巣や精巣の機能が途絶してしまう場合があります。かつては命を助けることが最優先でしたが、現在は、がんの治療をしながら社会復帰する方も多く、妊孕(にんよう)性温存を望む患者さんも増えています。木村文則准教授を中心に小児AYA世代のがん患者さんの妊孕性温存に、早くから着目。附属病院内に卵子や卵巣の凍結保存をする妊孕性温存外来を常設しました。

 2015年には、がん・生殖医療ネットワークを構築し、翌年から「滋賀県がん患者妊孕性温存治療助成事業」として、全国に先駆けて医療費助成を実現しています。

―研究と教育については。

 帝王切開瘢痕症候群の研究も進めています。私を含む日本産科婦人科学会の生殖・内分泌委員会でこの疾患を全国調査したところ、帝王切開によって不妊症になっている患者さんがいることが分かりました。

 これまでは、帝王切開したところにできるくぼみを縫合する手術が主に行われていました。しかし、縫合すると子宮が伸びにくくなり、次の出産で早産になる可能性があるため、私たちは子宮鏡手術で患部を焼く方法を行っています。

 この帝王切開瘢痕症候群と子宮内膜症は、同じ病態なのではないかという仮説を立てています。富山で同じ治療・研究を手掛ける先生と共同研究を行っています。新たな治療法の確立や子宮内膜症の解明につながる可能性があり、今後も期待している研究の一つです。
 生殖医療の分野では、木村准教授が慢性子宮内膜炎と不妊症の関係に着目。慢性子宮内膜炎の治療後に妊娠率が上昇した実例を基に、基礎的な研究を展開しています。その研究が評価され、滋賀医科大学で初めての日本産科婦人科学会のシンポジストに選ばれました。

 滋賀県には日本最大の湖「琵琶湖」があります。滋賀医科大学では、その琵琶湖の水をイメージして教育理念を掲げています。

 例えば、年齢や立場に関係なく先輩は自分の持っている知識や技術をすべて教える指導方針を「泉の教育」と呼んでいます。

 また、チーム医療のため、毎日の患者さんの引き継ぎや週に2回のカンファレンスにはスタッフ全員が集まって情報共有。患者さんに教わりながら臨床経験を積む中で、水面に映る己の姿を確かめるように、日々自分の診療を確かめていくことを「湖面の教育」として実践しています。

―今後の目標は。

 質の高い臨床・研究の維持を続けるための人員の確保が難しいのが現状です。専門医やサブスペシャルティ資格取得の研修体制を整え、今後はより優秀な産婦人科医を育てることに貢献していきたいと思っています。

 研究面は、以前から手掛けていた霊長類の子宮内膜症の研究を、滋賀医科大学にある動物生命科学研究センターで進めていきます。

 当講座は初代から私まで学外出身の教授が続いています。人材育成に力を注ぎ、次の教授をこの講座から輩出できるようにしたい。それが、私の最後の務めだと思っています。

滋賀医科大学医学部 産科学婦人科学講座
大津市瀬田月輪町
☎077―548―2111(代表)
http://www.sumsog.jp/

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