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臨床、研究、教育、連携… 乳腺、甲状腺にひたむきに

臨床、研究、教育、連携… 乳腺、甲状腺にひたむきに

 乳腺・内分泌外科学分野  名誉教授(いわせ・ひろたか)
1979年名古屋市立大学医学部卒業。英ロンドンガイズ病院留学、
名古屋市立大学第二外科助教授などを経て
2004年から熊本大学大学院医学薬学研究部乳腺内分泌外科分野教授、2019年4月から現職。
熊本市民病院顧問。


 九州最初の乳腺・内分泌外科教室の教授として赴任以来15年、乳腺、甲状腺の治療、研究を進めてきた。多くの専門医を育て、地域との連携にも腐心。3月末で退職し、熊本市民病院の顧問に就いた。

―15年を振り返って。

 2004年11月、初代の教授として名古屋市立大学から赴任しました。その1年前、熊本大学では第一外科、第二外に分かれていた組織を再編成することになり、乳腺・内分泌外科が独立。心臓・血管外科、小児・移植外科、消化器外科、呼吸器外科と合わせて全部で5外科になりました。

 2004年に40~50例だった乳がん手術は、現在250例前後になり、甲状腺手術も数例から約100例へと増えています。臓器別外科にしたことで患者さんにも受診する科が分かりやすくなりましたし、臨床や研究も一層スムーズになったと思います。

 私は日本乳癌()学会の理事を8年務め、2年前には第25回日本乳癌学会学術総会の会長をさせていただきました。6200人ほどが参加する大規模なもので、熊本にはそれだけの人を受け入れられる場所がなかったため、福岡市のマリンメッセ福岡と隣接する福岡国際会議場を会場に開催。より多くのプログラムを見てほしいと考え、参加者がタブレット端末やスマートフォンを使って、その時にいる場所と別の会場の講演などを見られるようにしました。この試みは、実施して良かったと思っています。

 日本外科学会の理事も務めました。新専門医制度の設立に伴い、基盤である基本領域の専門医にサブスペシャルティ領域の専門医が設けられ、この中に乳腺・内分泌外科を認めていただきました。これからはさらに乳腺、内分泌の専門医を育てなければなりません。

 私自身は、乳がんに対するホルモン療法について、長年研究してきました。特にエストロゲン療法の作用メカニズムを解析し、オンライン科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されました。

 また、血液に浮遊する腫瘍由来のDNAを調べることで、がんの発見を目指すリキッド・バイオプシー(液体生検)の研究も続けました。

 大学病院では医療安全・危機管理担当の副病院長を2年、経営・診療担当の副病院長を1年務めました。

 病院内にあるがんセンターのセンター長も8年。他の医療機関などとの連携に力を注いだほか、緩和ケアの充実や外来化学療法の推進など、患者さんに寄り添う医療を心がけましたね。

 博士号を取得した教え子は13人。海外からの研究者は4人で、いずれも中国からの留学生です。

 独立した乳腺・内分泌の講座があるのは、九州では熊本大学だけです。他に京都大学、大阪大学、北海道大学、私の母校名古屋市立大などにあります。治験や臨床試験にも積極的に取り組み大きな成果となりました。これには臓器別再編成が大きく貢献したのだと思っています。


―願うことと、今後について聞かせてください。

 地域連携はとても重要です。乳がんの診療での地域連携の一つに、熊本大学病院を拠点とし、玉名や山鹿、阿蘇など各地域にある病院をサテライト病院(衛星病院)と位置づける仕組みがあります。

 週に1回、あるいは月に1回、熊本大学病院の医師が出向いていって、診療するものです。地元の病院で可能な抗がん剤の投与やホルモン治療はそこで実施してもらい、手術や治療が難しい状態の場合には大学病院に来ていただく。県南部にはまだ広がってませんので早く実現することを願っています。

 私自身はこの3月末で退職し、熊本市民病院の顧問に就きました。引き続き各地を訪ね、診断・治療にあたりたいと考えています。


 乳腺・内分泌外科学分野
熊本市中央区本荘1―1―1 ☎096―344―2111(代表)
http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/breast/

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