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腸内細菌で動脈硬化を改善 医療・研究体制を強化

腸内細菌で動脈硬化を改善 医療・研究体制を強化


教授(ひらた・けんいち)

1984年神戸大学医学部卒業。米バンダービルト大学、スタンフォード大学研究員、
神戸大学医学部附属病院冠動脈疾患治療部などを経て、2007年から現職。同病院長兼任。

 神戸大学循環器内科学分野の平田健一教授の研究テーマの一つ、腸内細菌のコントロールにより動脈硬化を改善する研究が、順調に進んでいる。現在までの成果など今後の展望を聞いた。

─兵庫県の循環器医療の現状を。

 阪神間には拠点病院が数多くあり、日本の最先端医療を提供できる体制が整っています。東播磨や中播磨地域も充実した診療が行われています。

 ただし、日本海側の但馬地域は医師不足が否めず、県の養成医制度により確保した医師の協力を得ながら、医療体制を維持しています。淡路地域は、大学から循環器の医師がしっかり派遣され、基本的な診療体制は問題ありません。

 2018年末に、国会で「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立。2020年から関連医療の体制整備が、全国で本格化するものと思います。

 2019年、神戸大学医学部医学科創立75周年・神戸病院(現:神戸大学医学部附属病院)創立150周年の記念事業の一環として、各方面から協力を得て、研究機能の強化を図りました。附属病院は臨床研究中核病院の申請を厚労省に提出するなど、循環器を含めた医療および研究体制の整備をさらに進めています。

─動脈硬化を腸内細菌で改善する研究とは。


 動脈硬化は、傷ついた血管を修復する免疫応答の一つである炎症により、血管内にコレステロールなどがたまり、最後は詰まってしまう病気です。炎症を抑えることができれば、予防や治療につながります。

 これまで各研究機関において、多種の薬物試験を含め、さまざまな研究が行われてきましたが、動物実験で成功しても、人では十分な結果が得られない状態が続いていました。そこで、私を含む本学の研究グループは、炎症の抑制に腸内細菌を利用する研究を開始したのです。

 腸は腸内細菌によって免疫コントロールが行われており、バランスが崩れると、さまざまな病気を発症することが分かっています。動脈硬化にも同様のメカニズムが働いているのではないかという予測のもと、動脈硬化を発症している患者さんと、発症していないことが検診などにより確定している人の腸内環境を、比較・調査しました。

 その結果、腸内細菌のパターンが異なっていることが判明。具体的には、動脈硬化の患者さんは、腸内細菌のうちバクテロイデス属と呼ばれる菌が減少していました。この菌をマウスに投与すると、動脈硬化の改善が見られたことから、バクテロイデスに着目した予防、および治療の研究を本格化させたのです。

 治療薬の開発は数年以内に実現可能、との見通しをつけています。治療薬は錠剤を検討。一つはバクテロイデスが生きたたま腸に到達して直接、菌を増やすもの。もう一つは、バクテロイデスが増殖しやすい腸内環境を整える、プレバイオティクス的なものです。いずれも開発費は低コスト、患者さんの負担が軽く済むと考えています。

─不整脈センターで医師の技術習得を支援。

 不整脈の治療法は日々進化しており、それらを習得し、医師として独り立ちするまでには、かなりの費用や時間がかかるようになってきました。

 少しでも解消しようと、私が教授就任と同時に、附属病院内に立ち上げたの「不整脈センター」です。2020年で13年目を迎えます。大学院生に門戸を開放するほか、附属病院においてカテーテルアブレーションなど高度な治療を実践することで、優れた人材の育成に努めてきました。

 現在、当センターで育った医師は、兵庫県内各地の病院をはじめ、最近は大阪市の医療機関でも不整脈の治療に当たっています。地域住民からの信頼も厚く、とてもうれしく思います。

神戸大学大学院医学研究科内科学講座 循環器内科学分野
神戸市中央区楠町7―5―1
☎078―382ー5111(代表)
https://www.med.kobe-u.ac.jp/im1/

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