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腎臓専門から裾野を広げ地域連携の強化へ

腎臓専門から裾野を広げ地域連携の強化へ

特定医療法人衆済会 増子記念病院
理事長・院長(もろずみ・くにお)

1973年名古屋大学医学部卒業。
同第三内科、名古屋市立大学病院、スイス・バーゼル大学病理学研究所留学、
名古屋第二赤十字病院腎臓内科部長・副院長などを経て、
2014年から衆済会増子記念病院理事長、2017年から現職。

 「腎臓の専門病院」として知られる増子記念病院。腎移植をはじめ、センター化による腎臓の多面的治療の推進など、腎臓治療の実績を重ねる。「就任時に立てた10年計画から見れば、まだ道半ば」と言う両角國男理事長・院長に、これまでの成果と今後の目標を聞いた。

―腎臓治療の体制は。

 透析を中心に、検診による腎臓病の早期発見、悪化の防止、腎移植などあらゆる治療方針に対応できるよう12人の腎臓専門医を配しています。

 また、2017年にMRI、2019年にCTを更新。同年4月には、豊富な臨床経験と画像診断の実績がある放射線科専門医を迎え、ハード、ソフト両面の充実を図っています。

 オーバーナイト透析は、70人まで受け入れられる体制に拡充します。通常4時間のところを8時間かけて行うこの透析は、高リン血症や高血圧、貧血の改善により効果があり、リン吸着薬や降圧剤などを大幅に減薬できます。「健康関連QOL」を測定するSF―36の数値では、フィジカル、ソーシャル、メンタルのすべてにおいて改善が見られます。

 画像診断では、新装置の性能向上によって、撮影時間が大幅に短縮しています。通常の横断面だけでなく縦画像も撮影することによって、専門医にとっては判断がしやすく、患者さんにとっては説明が分かりやすくなりました。

 腎移植は年間6例ほど。これまでに、レシピエント(腎移植患者)約400人を抱え、ドナーは約300人を診療しています。腎移植科では、長年腎移植に携わってきた打田和治部長を含め、医師4人と移植コーディネーターが対応に当たっています。

―腎臓以外の分野は。

 透析医療が必要と思われる患者さんの8割が、糖尿病や高血圧の合併症があります。将来にわたって心臓や血管に重篤な症状がでる可能性が極めて高いと言えるでしょう。

 その中で一番深刻なものは脳血管疾患。認知症の原因の一つにもなっています。そこで、脳神経内科を設立し、専門支援チームを発足。3年をかけてスタッフの教育や、院内整備を行ってきました。今後、医師を増員し、先行している脳ドックをはじめ、本格的に診療を開始していきたいと考えています。

 当院は、専門病院としての認知度が高く、地域からは「ハードルが高い病院」と思われてきました。そのイメージを払拭し、〝日本一の標高でありながらも裾野が広がっている姿が皆に愛される富士山〟のような、多くの診療科や専門医をそろえつつ、身近で頼りになる病院と思われるようにしていきたいと思っています。

 ホームページや各種メディアを介しての情報発信や、地元医師会にも積極的に働きかけています。地域連携室の紹介状件数は、2018年度に転入・転出ともに2000件を超えました。

―今後の展望は。

 理事長に就任した際の発展計画では、最初の1年間で長所・短所を洗い出し、10年で新たな病院をつくりあげていくグランドデザインを作成しました。この春から7年目に入りますが、ここまでは予定通り。当初の計画の7、8割は達成できました。

 病院の規模も大きくなり、建物の老朽化や手狭さの問題を考えなければなりません。新館建設用地は取得済みですが、すぐには実行しません。医療を取り巻く情勢が今後厳しくなると予測されており、次の設備プランは、世の中の変化をくみ取った上で計画を進めていこうと考えています。

 当院の理念は「患者とその家族、職員とその家族の幸せのために」です。今後の超高齢社会を表す言葉に「2040年問題」があります。その頃に迎える創立100年を視野に、当院の今後はどうあるべきかを考えていきます。


特定医療法人衆済会 増子記念病院
名古屋市中村区竹橋町35―28
☎052―451―1307(代表)
https://www.syusaikai.com/

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