九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

脳内ストレスの本態を解明 治療・予防につなげる道筋を

脳内ストレスの本態を解明 治療・予防につなげる道筋を

兵庫医科大学 内科学 糖尿病内分泌・免疫内科
主任教授(こやま・ひでのり)

1987年大阪市立大学医学部卒業。米ワシントン州立大学留学、
大阪市立大学大学院医学研究科講師、兵庫医科大学医学部准教授などを経て、2016年から現職。
大阪市立大学大学院医学研究科客員教授兼任。

 脳内のストレスが疾病とどう結び付くかを解き明かし、治療法や予防策を見いだそうという研究が、2019年、兵庫医科大学の全学横断的プロジェクト第1弾に選定された。その意義と将来について、主任研究者の小山英則教授に聞いた。

―大学の看板となり得る共同プロジェクトが発足しました。

 痛みや疲労、睡眠障害などで引き起こされる脳内ストレスの本態を解明。評価方法を確立することで、病気との関連性を見いだし、予防や治療に役立てることを目的とした研究です。

 きっかけは、以前行った心臓病の発症予測に関するコホート研究です。疲れの度合いを問診で定量化すると、疲労度が高いほど病気にかかりやすく低い人は逆、という結果が出たのです。その裏には睡眠や自律神経、脳内ホルモンなど多くの要因があり、バランスが崩れることが引き金になるのではないか。それらをまとめて「脳内ストレス」と捉えると、問題点と現象のリンクがつかめるのでは、と考えたのが発端です。

 学内に脳神経の領域に注力する研究者が多かったのも、機運が高まった理由でしょう。共同研究者として5人が集結。現在、生理学生体機能部門とは脳内の神経活動を評価する研究、核医学・PET診療部とは脳の神経炎症のイメージング研究などが進行中です。

 「脳内ストレス」という言葉は私たちが名付けました。これを学問として扱う重要性を示したいというのが大きな願いです。最初の3年が一つのめど。国際的な一流誌に論文を掲載し、広報活動を通して一般にもPRしたいと思います。ただ、臨床に応用するには3年では足りません。まずは、次のステップにつなげて結果を出す。そこに力を注ぎます。

―社会的にもインパクトのある研究。

 発表後から問い合わせも多く、患者さんから直接電話が来ることもあります。ただ、例えばよく耳にする自律神経障害などは客観的な評価もなく診断されてしまう。そこが問題です。

 私たちのコホート研究では1000人を超える方の自律神経や睡眠活動を3年以上追跡。解析で判明したことは数多くあります。この意味を、基礎研究で解明することに取り組みます。

 うつ病は数カ月以上脳内ストレスに対処できていない人が発症しやすいと考えられます。普段からモニターできれば、精神疾患を減らせるかもしれない。認知症も同様です。現在の予防策は生活指導が唯一ですが、脳内ストレスを管理することで予防につなげられると考えます。

 将来的には、血糖値や血圧と同じように簡単なデバイスで脳内ストレスをチェックできるようにして、さらに薬剤の開発につなげたいですね。病気になってから治すには多額のお金がかかります。メタボ検診と同様に脳内ストレス検診を広げたいですね。

 そのためにはモニターのためのデバイス開発も同時進行で必要です。市場が見込めれば企業の参入も勢いづき、健康産業としての将来性も広がるでしょう。

―糖尿病について、阪神地区の現状を。

 この辺りは比較的、糖尿病の専門医が多いエリア。少なくとも標準化された医療はかなり実践できています。健康への関心が高いという地域性もあるでしょう。逆に兵庫県の北部や西部は専門医が少なく、格差が大きいように感じます。

 問題の多い合併症は、通院することで半分ほどに減らせます。薬は進歩し、合併症予防の知識も広く共有されている。治療の戦略にもめどが付いており、透析患者数もすでに頭打ちの状況です。あとは、いかに検診率を上げるか、その先の受診を促すかです。今後も行政とともに、対策に取り組んでいきます。

兵庫医科大学 内科学 糖尿病内分泌・免疫内科
兵庫県西宮市武庫川町1―1
☎0798―45―6111(代表)
https://www.hyo-med.ac.jp/department/diab/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram has returned invalid data.

コメントはこちらから

メニューを閉じる