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脊椎インストゥルメンテーション手術の質を高める

脊椎インストゥルメンテーション手術の質を高める

北里大学医学部整形外科学 髙相  晶士 主任教授(たかそう・まさし)

1989年千葉大学医学部卒業、同整形外科学教室入局。
国立千葉東病院(現:国立病院機構千葉東病院)医長などを経て、2010年から現職。
北里大学病院副院長兼務。

 脊椎(背骨)の形がさまざまな原因からゆがんだ状態となってしまう「脊柱変形」。成長期の子どもを中心に発症する側弯(わん)症などはその一つだ。脊柱変形の手術数が国内でもトップクラスを誇る北里大学医学部整形外科学教室。同教室を率いる髙相晶士主任教授に話を聞いた。

―教室の特徴などについて教えてください。

 脊椎、関節、外傷といった分野に加え、最近では子どものスポーツ整形などオールラウンドに診ることができる教室です。

 手術は年間約1500件を実施していますが、特に私の専門でもある脊柱変形を含めた脊椎疾患については年間約500件の手術を実施。脊柱側弯(わん)症手術、脊椎固定術などが主なものです。神奈川県以外の遠方からの紹介も多く、時には海外から患者さんが来院することもあります。

 脊椎の手術のうち7割から8割はインストゥルメンテーションと言われる背骨に金属を入れ脊椎を固定する手術を実施しています。当教室はインストゥルメンテーションに関して、日本でもトップクラスの手術実績があります。

 力を入れているのは変性疾患が原因となった成人脊柱変形の手術です。高齢化などによる変性疾患で立ったり歩いたりしていると腰痛や下肢の痛み、しびれが生じます。60歳代くらいの方をはじめ、時には80歳という高齢で手術を受ける方もいらっしゃいます。

 最近の高齢者はこれまでの高齢者と違って体力もあり手術やリハビリにも積極的です。また、当教室では比較的小さな皮膚切開で済む低侵襲手術を取り入れている点も患者さんにとって安心していただける理由のようです。

―髙相教授の手術の特徴について。

 当教室ではインストゥルメンテーション手術に使用する、さまざまなインストゥルメント(PS・ペディクルスクリュー、フック、ロッド、ワイヤーなど)を幅広く使いこなせるように指導している点が大きな特徴です。私の世代は、多様なインストゥルメントが使えるよう指導を受けた最後の世代と言って良いかもしれません。最近では一部のPSしか使わないという整形外科医も少なくありません。

 手術を実施する場合、たとえ一つのやり方がスムーズにいかなくとも、いくつかのオプションを用意しておくことが大切だと考えています。つまり、多様なインストゥルメントが使えるようにしておくことで、手術の選択肢が広がり、結果的にリスクを回避できる低侵襲な手術が実現できると考えます。

―骨移植に活用する「骨バンク」を運営しています。

 カテゴリー1(採取して保存した組織を他施設へも供給できる)の「骨バンク」で大学病院の中にあるのは本学のみです。

 担当エリアである関東地区の医療施設から、患者さんからの組織の提供の連絡があると、当教室の医局員が先方に出向きます。そこで骨や靭帯組織の提供をいただきそれらの「クオリティコントロール」まで教室で実施します。

 いただいた骨などは日本全国から依頼があればシッピング(移植施設への供給)することができます。

 主に人工関節手術を行う時や脊椎固定術、そして骨肉腫などを発症した患者さんの治療に使われています。年間20件から30件ほどのシッピングがありますが、特に子ども病院からの依頼が多いのが特徴です。

―今後は。

 指導的立場となる医師が多数育ってほしいと期待しています。それにはやはり年月が必要でしょう。早急な結果を求められる時代ですので医局の課題というよりは、医療そのものが抱えている課題かもしれません。今後目指すのはより低侵襲な脊柱変形手術です。課題もたくさんありますが患者さんの声を励みに頑張っていきます。


北里大学医学部整形外科学
神奈川県相模原市南区北里1―15―1
☎042―778―8111(代表)
http://www.kitasato-orthopsurg.jp/

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