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脂肪肝早期発見・治療サポートのためのシステムを構築

脂肪肝早期発見・治療サポートのためのシステムを構築

教授(たなか・やすひと)
1991年名古屋市立大学医学部卒業。米NIH(国立衛生研究所)、
名古屋市立大学病院肝疾患センター長、同大学大学院病態医科学講座教授などを経て、
2020年から現職。熊本大学病院肝疾患センター長兼任。日本肝臓学会指導医・理事。

 就任して1年。田中靖人教授は早期発見や治療サポートを実現する「脂肪肝プロジェクト」に取り組んできた。さらには、研究マインドを持った若手の育成にも尽力する。


―就任1年です。

 これまで肝臓を中心に研究を行ってきましたが、今後は消化器内科、医学全般にわたる研究を展開していくつもりです。そのために診療科の垣根を越え、基礎・臨床などの総力を結集した「オール熊大」で研究に取り組む体制を構築したいと思っています。本学には「ヒトレトロウイルス学共同研究センター」があり、10年前より開始しているB型肝炎創薬研究から臨床応用を目指します。B型肝炎を含め、肝がん、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、炎症性腸疾患などの治験に参加可能な患者さんを紹介していただければと思っています。

 教育では、研究マインドを持った臨床医の育成を目指し、熊本大学の名に恥じない人材の輩出を目標としてきました。若い世代の意見を尊重し、明るい未来を目指して、熊本から全国へ、そして世界に発信できる研究成果を上げていきたい。

 研究者が減っているのは熊本大学に限りませんが、そこを食い止めなければプレゼンスが下がってしまいます。医局員の半数ほどが科学研究費助成事業の助成を受けており、残りも申請中で、さらに高い成果を上げられるよう努めていきます。


―脂肪肝の対策は。

 C型肝炎ウイルス感染による肝がんの減少傾向に対し、増えているのが、肥満などによるNASH、いわゆる非アルコール性脂肪肝炎です。

 そこで2020年12月、脂肪肝早期発見・治療サポートを目的とした「熊本脂肪肝プロジェクト」を始動させました。脂肪肝の目安となる肝臓の線維化(硬さ)を予測する「FIB │4 index」を用いて、病状が進行する前に専門医の受診を可能にするシステムです。スマートフォンからアクセスして肝機能など数値を入力すると、脂肪肝の段階が判定されます。「FIB│4 index」の計算サイトは知られていますが、この数値を実際に病院と共有し、診療につなげられるようシステム化したのが、われわれの「熊本モデル」です。全国に広がっていくことを期待しています。

 ただし、実際の診療は、全ての患者さんを熊本大学だけでカバーするのは不可能です。そこで、県内の多くの肝疾患専門医療機関に協力いただいています。また、看護師、臨床検査技師、薬剤師などの「肝疾患コーディネーター」にも啓発活動をサポートしてもらっています。


―大学病院の役割は。

 大きくは三つあります。一つは、バイオバンキングの構築と産学・病病連携による共同研究。二つ目は、病院や診療所、施設などで患者情報を共有する「くまもとメディカルネットワーク」を活用した医療連携および啓発活動、三つ目は、AIホスピタルへの貢献です。

 消化器内科では内視鏡の診断補助にAIを導入したいと思います。画像を見て「がん」かどうかをAIが判別できれば、見落としがなくなり、ダブルチェックにもなります。これらの取り組みを通じ、熊本大学のAIホスピタル化推進の一助になればと考えています。



熊本大学大学院生命科学研究部 消化器内科学講座
熊本市中央区本荘1─1─1 ☎096─372─1371(肝疾患センター直通)
https://gastro-kumamoto-u.com/

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