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胆膵超音波内視鏡によるがんの早期発見に取り組む

胆膵超音波内視鏡によるがんの早期発見に取り組む


講師(はしもと・しんいち)

2000年鹿児島大学医学部卒業。
聖マリア病院、鹿児島大学第二内科、仙台市医療センター仙台オープン病院などを経て、
2017年から現職。

 膵臓がんは死亡数が全がん種の中で4番目に多く、早期発見が非常に困難ながんとして知られている。鹿児島大学病院消化器内科の橋元慎一講師は、胆膵超音波内視鏡を専門とし、検査によるがんの早期発見と治療に取り組んでいる。

―これまでの経歴と現在の専門分野は。

 私は救急疾患を診療したいと考え、初期研修では救急搬送の多い福岡県久留米市の聖マリア病院で経験を積みました。消化器系の救急疾患の患者さんを多く診たことから鹿児島大学の消化器内科に入局しました。

 2012年から1年間、仙台市医療センター仙台オープン病院の消化管・肝胆膵内科で研修を受けました。同院は消化器内視鏡センターを擁する日本有数の高い専門性を持った病院で、ここで勉強した経験と知識を基に、現在は主に超音波内視鏡(EUS)を使った専門医として診断、治療を行っています。

 EUSはスコープの先端に付いた特殊な内視鏡を口から胃・十二指腸に挿入し、胆のう、胆管、膵臓を観察するもので、胆管がん、胆のう結石、膵臓がんなどの疾病の発見に効果的です。

 2010年にEUS検査が保険適用になってから増加。当院では週2回の検査で1日5〜7件、年間約700件の検査を行っています。

 EUSのメリットの一つは、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS―FNA)によって、組織検査ができることです。

 膵臓は体の深部にあるため診断が非常に難しく、以前はCTや腹部エコー検査でがんが疑われた場合は、検査のために開腹手術をすることもありました。現在はEUS―FNAの導入によってより安全で効率的に診断できるようになりました。年間約130件行っており、九州でもトップクラスの実績です。

―がんの早期発見に向けた取り組みについて。

 膵臓がんは早期発見が困難ながんで、発見された時には手遅れということも少なくありません。膵臓がんの手術率は全国的に3割程度。鹿児島県は約15%と低く、EUSによる検査でもまだ早期発見にまで至っていないのが現状です。

 そこで2017年から国立がん研究センターと共同で早期膵臓がんの新検診法開発を目指し、新たなバイオマーカーでの実験的検診を鹿児島県で実施しました。

 これは血液中の「アポA2アイソフォーム」というタンパク質を検査することによって早期膵臓がんが検出できるかどうかの有用性を確かめるもの。鹿児島県民総合保健センターが実施する枕崎市、出水市の地域健康診断を受診した約8000人が登録されました。 鹿児島県が選ばれたのは地域内での人の移動が少ないことと、健診受診率が高く検査体制が整っていることが理由。現在、がん研究センターでデータを解析しています。採血による効率的な検診法を確立することで、死亡率の低下が期待されています。

―胆膵分野における最新の動向と今後の課題は。

 内視鏡を使った検査・治療には、他に「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」(ERCP)という手法があります。これは十二指腸まで内視鏡を入れ、その先端から膵管・胆管の中にカテーテルを挿入して造影剤を入れてX線写真をとるものです。胆管や膵管に結石が見つかった場合にはERCPにより除去することができます。

 また「ラジオ波焼灼療法」といって電子レンジのような高周波電流を流すことで、がん細胞を焼き切る手術も行っています。

 このように内視鏡による検査、治療の研究は進んできているのですが、まだ十分に知られていないのが現状です。今後は開業医の先生を対象にした研究会や市民公開講座などを通じて啓発を行っていかなくてはならないと感じています。

鹿児島大学病院 消化器内科
鹿児島市桜ケ丘8-35-1
☎099―275―5111(代表)
https://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~intmed2/

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