九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

胃がん先進医療に取り組み北陸のがん治療に貢献

胃がん先進医療に取り組み北陸のがん治療に貢献

金沢医科大学 一般・消化器外科学 小坂 健夫 教授(こさか・たけお)
1979年京都大学医学部卒業、金沢大学第二外科(現:消化器・腫瘍・再生外科学)。
1985年同大学院修了。金沢医科大学一般・消化器外科助手などを経て、2008年から現職。

 石川県金沢市の隣町に位置し、地域がん診療連携拠点病院として、金沢市から能登半島まで幅広くカバーする金沢医科大学病院。さまざまながん治療への挑戦を行っており、胃がんへの先進医療「センチネルリンパ節生検」に取り組む病院のひとつでもある。

―現状は。

 地域がん診療連携拠点病院として、消化器がんの治療においては、石川県内の症例の約10分の1を担っています。

 地域の特性としては、高齢の患者が非常に多いこと。そのため合併症の予防にも力を入れています。功を奏しているのが「術前介入」。医師だけでなく薬剤師、リハビリ、歯科口腔科スタッフなど多職種が連携し、呼吸法や廃用症候群防止リハビリを手術前から開始。以前は3分の1程度だった自宅退院の割合が、過半数以上に増加しました。このような取り組みは、今後より大切になっていくのではないでしょうか。

 また、北陸では数少ない私立医科大学として、教育にも力を入れています。患者さん中心の質の高い医療、良医の育成、大学として新しい研究を進めていくこと、そして地域貢献。この四つをモットーに、日々治療と教育に励んでいます。

―胃がんにおけるセンチネルリンパ節生検とは。

 もともと乳がんや悪性リンパ腫に用いられている検査手法で、私たちは早期の胃がん手術に転用すべく研究しています。

 がんが転移する時に通り道になるリンパ節が「センチネル(=見張りの意)リンパ節」。ここに特殊な薬剤を流し、光を当てるとリンパの道筋が判明。その組織を採取し検査すると、がんの転移の有無が分かります。手術中に顕微鏡検査で即座に結果が判明するので、その段階で転移がないことが確認できれば無駄な切除手術をしなくて済むというわけです。

 がんが粘膜下へ進んでいる場合は、転移を防ぐために周辺をかなり大きく取り除く、というガイドラインがあります。しかし実は、転移がある人は約2割。つまり10人に8人は、切除不要の部分まで切り取っているのです。

 切除の割合によっては、その後の生活の質に大きく影響します。不合理な切除を減らしたいからこそ、「センチネルリンパ節生検」を生かしたいと考えているのです。北陸においては、早くからこの研究に着手しています。すでに100例を超えており、全国のこの研究を行う病院と連携して、保険適用へのデータ収集と申請準備を行っている段階です。

―今後の展望は。

 進行がんについての研究も進めています。進行がんの場合は薬物療法、化学療法を併用することが多い。どの方法を選択するか、現在は「PS(パフォーマンス ステータス)」を基準に判断しています。 これは、患者がどの程度動けるか、体力があるかなどの要素に基づくものです。さらに、血液検査でリンパ球について調べることで、「生存確率やどの療法が適切か予測できるのでは」というデータが取得できつつあります。

 この研究をより深めること、また、「センチネルリンパ節生検」を保険適用の治療方法として確立していくことが、今後の目標です。

 手術法について、以前は開腹のみでしたが、今は、かなり高い割合で腹腔鏡手術が可能になってきています。また、ロボット手術も今後進化していくでしょう。

 外科医学の進歩は、工学と光学の技術進歩が大きく関わっています。これらの技術を注視し、そして研究し、可能であれば今後は開発にも携わりたいと考えます。若手医師へしっかりと技術継承をしながら、より合理的かつ患者の心身への負担が少なくなる、より良い治療法を今後も追求していきます。

金沢医科大学 一般・消化器外科学
石川県河北郡内灘町大学1―1
☎076―286―3511(代表)
http://www.kanazawa-med.ac.jp/~gastsurg/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

コメントはこちらから

メニューを閉じる