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育成のキーワードは「少数精鋭」の研修環境

育成のキーワードは「少数精鋭」の研修環境

  院長(くがい・ただお)
1986年滋賀医科大学卒業、琉球大学医学部第2外科(現:胸部心臓血管外科学講座)入局。
沖縄県立那覇病院(現:沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)などを経て、
2018年から現職。

 沖縄県の医療提供体制は六つの県立病院と附属診療所が中心となって整備されてきた。県内の五つの医療圏の中で、最も広大な面積を有するのが1市1町8村で構成する北部医療圏。周産期医療をはじめ、地域を支えるべく北部病院は奮闘を続けている。就任から1年が過ぎた14代目院長・久貝忠男氏が見つめる沖縄の医療の「いま」は。

―どのような役割を担っているのでしょうか。

 1946年、当院は「名護中央病院」として開設しました。1972年の本土復帰に伴い「沖縄県立名護病院」と改称。現在の名称になったのは、1991年のことです。創設以来、一貫して救急医療を中心に据えてきた歴史があります。ここ北部エリアはツーリングやドライブを楽しむために多くの観光客が訪れ、交通事故による高エネルギー外傷などの件数が多いのです。そうした背景もあって、救急患者の対応を強みとしてきたわけです。

 また、北部には夜間診療所がありません。当院ではすり傷から開腹手術まで、子どもから高齢者まで、幅広い1次・2次の救急患者を受け入れています。当院に勤務する医師たちの多くが、沖縄県立中部病院(うるま市)で徹底的に研修を受けて「ジェネラリスト」としての力を身に付けた者です。

 こうした人材の活躍を基盤として、当院でも人材育成に対する取り組みを少しずつ強化してきました。例えば、当院らしさを打ち出した初期臨床研修プログラムに力を入れています。

―特徴を教えてください。

 まず、キーワードは「少数精鋭」。当院では、年間でおよそ2万2000人の救
急患者を受け入れています。研修医1人当たりが経験できる症例数は1000例にも達し、そのバリエーションも豊富です。

 同時にコンパクトな組織だからこそ可能な「マイペースな研修環境」という点を魅力だと感じてくれている研修医もいます。いわゆる屋根瓦方式による指導を採用し、先輩と後輩の垣根のない関係が築かれています。先輩にとっても、教えることで成長が促されるという効果が生まれています。

 当院から巣立っていった医師たちから「北部病院の研修は充実していた」という声を聞いたり、「先輩から紹介された」という人が当院に来てくれたりすると、研修の方向性は間違っていないのだと実感できます。昨年12月の「第126回沖縄県医師会医学会賞研修医部門」において、当院の研修医が最優秀賞を受賞したことも大きな励みとなりました。

―今後は。

 沖縄県の人口10万人当たりの医師の数は全国でも上位だと言われています。しかし、実は南部に集中する傾向があり、北部は不足が続いている。そんな状況に直面しています。これをもう少し適正に調整する方法はないものかと、感じているところです。

 診療科の偏在も解消できていません。北部エリアの出生件数は年間でおよそ1000。750件ほどは当院を含む地域の医療機関で対応していますが、250件ほどは那覇などの他の地域で出産している。お産に対応できる医療機関が非常に少ないのです。

 やはり、当面は「医師をどうやって充足させるか」という点が最大のテーマです。何か新しいチャレンジを始めるためにも、まずはチームのメンバーを集めなければなりません。稼働病床数が250床ほどの規模の当院にとって、医師の確保と働き方改革を並行して推進していくのは、まさに試練とも言えます。

 70年余りの間、地域の救急医療と向き合ってきました。「安心を届ける」という役割をより揺るぎないものとして確立し、継続させていく。そのためにも、さらなる魅力づくりを進めなければと思っています。

沖縄県立北部病院
沖縄県名護市大中2─12─3
☎0980─52─2719(代表)
http://www.hosp.pref.okinawa.jp/hokubu/

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