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肝胆膵の外科治療 他科とも連携し迅速に

肝胆膵の外科治療 他科とも連携し迅速に

愛知医科大学外科学講座() 佐野 力 教授(さの・つよし)
1986年名古屋市立大学医学部卒業。国立がんセンター(現:国立がん研究センター)中央病院、
愛知県がんセンターなどを経て、2014年から現職。

 「患者さんをあまりお待たせせずに、手術に対応する。それを可能にする体制が私たちの強み」―。そう言葉に力を込めるのは、愛知医科大学消化器外科の佐野力教授。消化器内科との密な連携を構築し、チーム力のアップに努めている。また、高度な医療だけでなく幅広い疾患もカバーする「地域の病院」としての側面も持つ。現状を聞いた。

―消化器外科の特徴を教えてください。

 愛知医科大学消化器外科では、手術日を「毎日」と設定しています。

 例えば、何らかの事情で予定していた手術がキャンセルになった場合。待機している患者さんで早期の手術が望ましい方を、その日に実施できるようスケジュ ールの調整に努めます。

 キャンセルが数日前のタイミングであれば、早まることになった患者さんに対する準備が可能です。もちろん、あくまでも検査などのプロセスをしっかりと経た上で、「できるだけお待たせしない」ことを心掛けています。

 2014年の新病院オープン以降、週末も含めて毎日、当直明けの消化器外科と消化器内科の医師が症例を検討しています。

 各科で診療した患者さんの中に手術を実施する可能性が高いケースがあれば、その時点で情報を共有。消化器内科への検査の依頼なども、その場で行います。

 私たちがあらかじめ手術を想定して備えを進めておくことで、早く実施に至ることができます。

 早く手術を終えることができれば、術後のスムーズな回復が期待できます。患者さんにとってプラスであることはもちろん、医療者にとっても、チーム医療をさらに引き上げる効果を生んでいると思います。

 当講座は、肝胆膵、上部消化管、下部消化管の三つのグループに分かれています。主治医制ではなく「チームで患者さんを診る」のが基本方針です。外科医の確保が容易ではない現状で、一人一人の力を有効に使うためにも、このような仕組みとしました。

 医局員は自分の専門領域を決めるまでは、三つのグループをローテーションすることになります。ですから、異なるグループになっても互いのことが分かりますし、バックアップしやすい。さまざまなメリットがあると考えています。

―地域での役割はいかがでしょうか。

 ここ長久手市には市民病院がありません。「地域の中核病院」の役割も担っており、良性も含めたさまざまな疾患に対応します。

 若手は少しずつ難易度を引き上げ、さまざまなレベル、幅広い術式を経験しながら手術のトレーニングを積むことができます。

 消化器疾患の中でも、肝胆膵領域は特に治療が難しいと言われています。手術が10時間を超えることもあるなど、医師には技術だけでなく、十分な体力も求められます。

 高度な手技を習得するためには、「基本の積み重ね」が欠かせません。どのような小さなことでも、地道に取り組める姿勢が必要だと思います。

 ルノワールやピカソもリンゴの絵を描けと言われれば、きっと精密なデッサンを仕上げるでしょう。高い技術のベースを築いた上で、個性を発揮しているのです。医療の世界においても同じです。先人が築いてきた基本を吸収し、自分の強みを発揮してほしいと思います。

―今後の展望は。

 2014年、教授に就任して以降、腹腔鏡下手術の件数が増加しました。それに伴うロボット支援下手術の導入、さまざまなアプローチによる新たな術式の確立など、外科を取り巻く状況はどんどん変化しています。おそらく、いずれ大きな転換期を迎えることになるでしょう。

 そのとき、時代の変化に適応できる外科医であってほしい。そんな思いを持って教育に力を注いでいきたいと考えています。


愛知医科大学外科学講座(消化器外科)
愛知県長久手市岩作雁又1─1
☎0561─62─3311(代表)
https://www.aichi-med-u.ac.jp/su06/su0607/su060703/11.html

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