九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

老年医学的観点を加えた 循環器診療を追求

老年医学的観点を加えた 循環器診療を追求

高知大学医学部 老年病・循環器内科学
教授(きたおか・ひろあき)

1988年高知医科大学(現:高知大学)医学部卒業。
同老年病・・神経内科学(現:老年病・循環器内科学)准教授などを経て、
2013年から現職。

 高知大学老年病・循環器内科学は、循環器内科学に、老年病学的な観点を加えた診療・教育・研究活動を行っている。教授として講座を率いる北岡裕章氏に現状を聞いた。

─講座について。

 当講座は、高知医科大学(現:)老年病学講座として、1981年4月に創設。当時、高知県は全国の中でもかなり高齢化が進んでおり、高齢者を診療できる医師の育成を目的に設置されました。 

 これまで老年病学、循環器疾患と神経疾患を担当する内科学教室として活動してきましたが、2016年、神経内科学(現:脳神経内科学)講座の設立によって、老年病・循環器内科学となり、現在に至っています。 近年では、フレイル外来を設け、高齢者総合機能評価(CGA)やフレイルの評価も積極的に実施しています。循環器内科治療に老年病学的な観点を加え、患者さんにとって最善の治療を提供できるよう心掛けています。

─登録研究も盛んです。

 心筋症と心不全に関する登録研究を進めています。

 心筋症登録研究は、前任の土居義典高知大学名誉教授を中心に2004年にスタート。高知県心筋症ネットワークを設立し、同意が得られた心筋症患者の情報を登録。そのデータをもとに病態解明や予後の調査を行っています。さらに、多くの医師から賛同いただき、全国規模の登録研究も開始。これまでに約1500人が登録しています。

 心筋症は、心筋梗塞のように1年で大きく変化する病気ではないため、5〜20年と、長い時間をかけて観察する必要があります。同じ土地に住み続け、同じ医師が対応する高知県だからこそできる研究ではないでしょうか。経過を観察して得られた研究成果については、今後も報告していきたいと思っています。

 2017年からは、心不全の登録研究も開始しています。県内の基幹病院を通して心不全患者の情報を登録。採血や超音波などの循環器系のデータに加え、フレイルなどの老年病学的なデータも収集しています。現在は登録を終え、基礎の経過の解析や予後調査を進めているところです。

─高齢の心不全患者へのチーム医療について。

 心不全の患者さんが増えています。高齢の慢性心不全の場合は、入退院を繰り返す傾向にあり、その要因は、薬の飲み忘れや病気に対する理解不足など、患者自身の日常行動によるものが大きいと言われています。

 そこで当院では、1人の患者さんを、医師や看護師、理学療法士、ソーシャルワーカーなど、多職種で見守るチーム医療を推進しています。県内の中核病院にも展開し、ほぼ体制が整ってきました。現在は、次のステップである病院と地域の医師との連携方法を検討しているところです。

 この取り組みは、高知県の医療政策に織り込まれています。急速な高齢化により、病院単位でできていたことが、今は難しくなってきました。これからは行政と一緒に、県単位で高齢者をサポートする仕組みをつくる必要があると思います。

 幸い高知県は、医療圏がはっきりしており、地域で活動しやすいので、高知県モデルをつくれば、新たな展開が見えてくるのではないかと思っています。

─今後の課題と展望を。

 高知県は医師の人数は多いのですが、高知市内に集中しています。県全体に医療を届けるためには、大学病院から地域の中核病院に医師を派遣する体制を整えていく必要があります。

 その実現には、良き臨床医の育成が重要です。高知医科大学(現:)の建学の精神である「敬天愛人」「真理の探究」を忘れず、幅広い知識を持ち、高度な循環器医療を実践できるバランスのとれた臨床医を育成し、地域の期待に応えていきたいと思っています。

老年病・循環器内科学
高知県南国市岡豊町小蓮185─1
☎088─866─5811(代表)
http://www.kochi-ms.ac.jp/~fm_gratr/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる