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緩和ケアの一翼を担いつつハブ機能を強化していく

緩和ケアの一翼を担いつつハブ機能を強化していく

香川医療生活協同組合  高松平和病院 蓮井  宏樹 院長(はすい・ひろき)
1981年徳島大学医学部卒業。同仁会耳原総合病院内科、
香川医療生活協同組合生協みき診療所などを経て、2006年から現職。

 高松市内で唯一、緩和ケア病棟を持つ高松平和病院。病棟担当医も兼任する蓮井宏樹院長は「中小病院ならではの利点を生かし、地域での存在意義を高めたい」と話す。

―8年前、緩和ケア病棟を開設。現状は。

 現在、緩和ケア病棟を持つ病院は県内に三つ。香川県立中央病院も開設予定ですが、需要に対する県の計画には届いていないのが現状です。当院の緩和ケア病床は21床、患者数は年間200人ほどで、平均在院日数は30日弱。看取(みと)りが8割、2割は自宅や施設へいったん戻られます。

 紹介元は香川県立中央病院、高松赤十字病院、香川大学など近郊の基幹病院が主ですが、診療所なども含め約30の施設から紹介があります。市内で緩和ケアに取り組む施設はいくつかありますが、在宅での看取りも受け皿も少ないのが現状。われわれが果たす役割と、地域からの期待は大きいと感じます。

 緩和ケアは特にチーム医療が重要な分野。各専門職が情報共有し、役割を果たそうと取り組んでいます。大事なのは、患者さんと家族の思いにどう寄り添うか。体だけでなくスピリチュアルケアも必要です。さらに患者さんに対してのみならず、スタッフが自分自身を癒やせるような手法も学んでいます。

 看取りは悲嘆が大きいですが、その中にも満足や希望が感じられたとご家族に語ってもらえたときは本当にうれしいですね。

―昨年、JCEP()の認定を受けました。

 ここは基幹型臨床研修病院。受け入れは年1~2人ですが、中小病院特有の臨床現場の特徴を生かし、特定の臓器や疾患の専門医療を究めるというより、社会的側面や生活習慣がどう影響するかというSDH(健康の社会的決定要因)を重視して全人的に診る医師を育てています。

 超高齢社会における中小病院やクリニックの患者の多くは軽症~中等症だけれど基礎疾患や複数の合併症がある人。入院の瞬間から介護や福祉につなげていく力量を持つ医師が必要ですし、当院はその教育環境に適していると自負しています。

 研修には総合診療や在宅医療、緩和ケアなどを取り入れていますが、中身のブラッシュアップのためJCEPを受審しました。高く評価していただき4年の認定を受けた半面、研修医募集に注力するようにとの注文も。学生に対する専従職員も配置していますが、今後も重点的に取り組んでいく課題です。

―創立70周年。今後の運営の方向性は。

 高次医療機関や診療所・施設との連携をさらに進め、医療のハブ機能を高めていきたいですね。地域包括ケア病床を昨年26床に増床。将来的には病棟を急性期、地域包括ケア、1病棟ずつとし、急性期から在宅へとつなぐケアミックス型を目指します。

 機能強化型在宅療養支援病院として80人ほどの訪問診療をしていますが、アドバンスト・ケア・プランニングなどを通して終末医療のあり方ももっと患者さんと考えていければ。大事なのは、地域での自分たちのポジショニングをしっかりと認識することです。格差社会が進み、健康格差も取りざたされていますが、患者さんの受療権を守ることがわれわれの第一義です。

 ドラッカーは著書「非営利組織の経営」の中で「何によって憶えられたいか」と自らに問い続けることで、人生が変わると書いています。自分たちは何をする集団か、社会的存在意義は何か。その視点で自らを分析し、周囲に理解してもらうことを忘れてはいけません。

 これまで病院を引っ張ってきた年代が60代となり、世代交代も課題の一つです。「本当に必要な病院」と思ってもらうためにはどう行動すべきか。職員と一緒に考えていきたいと思っています。


香川医療生活協同組合  高松平和病院
高松市栗林町1─4─1
☎087─833─8113(代表)
https://www.t-heiwa.com/

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