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総合診療で守備範囲を広げ医師不足を補う

総合診療で守備範囲を広げ医師不足を補う


梅屋 崇 管理者・病院長(うめや・たかし)

1996年自治医科大学医学部卒業。2006年豪ニューサウスウェールズ大学修士課程修了。
社団法人地域医療振興協会理事、
東京北医療センター副管理者などを経て2019年4月から現職。

 1947年の前身設立以来、70年以上の歴史を持つあま市民病院。この4月、公益社団法人地域医療振興協会による運営が開始された。管理者で病院長の梅屋崇氏に同病院再生にかける意気込みや取り組みを聞いた。

―2019年4月、管理者・病院長に就任されました。

 2010年に海部郡七宝町・美和町・甚目寺町の3町合併によってあま市が誕生し、公立尾陽病院からあま市民病院に名称変更しました。公立尾陽病院時代には入院患者数が減り、老朽化もあって医療サービスが十分提供できていなかったと聞いています。主な原因は医師不足ということでした。

 あま市は地域に必要な安定した医療の確保と経営の効率性を求めて指定管理者制度を導入し、公募。当社団法人地域医療振興協会が応募して受託したため、私は昨年4月に開設準備室本部長として着任しました。10月からは6カ月前倒しして診療を始めました。

 自治医科大学は各都道府県のへき地など地域医療を充足させるための学生を育てるために設立されました。

 当法人も自治医科大学の卒業生によって設立され、全国に支部があり、地域を医療で支えて町おこしや村おこしができるようなサポートがしたいと、自治体と協力して医療機関を運営しています。

―制度の導入で医師不足は解消されたのでしょうか。

 医師不足が解消されたわけではありません。しかし、総合診療医が増えたことで守備範囲が広くなりました。今年度は10人体制です。

 総合診療医は緊急手術を要さない救急疾患についてかなり広い範囲で患者さんを受け入れることができます。救急に関しては2018年に比べて2倍以上の応需率となり、入院患者数も1・5倍~2倍くらいに増えています。

 もちろん、患者さんや受診された方に不利益がないことが前提であり、専門医療が必要な方に対しては専門医を紹介します。緊急を要する容態の方は当院をスキップすることもありますが、総合診療医が介在することで、適切な医療を提供するお手伝いができると思っています。

 院内では毎週、プライマリケア勉強会をしており、私も教育レクチャーをしているので、週に複数回、総合診療についての研修会を行っています。

 高齢化が進む中、求められているのは地域包括ケアシステムの拠点となることで、急性期から慢性期までの幅広い範囲をカバーできる総合診療医が必要であると思っています。

―今後は。

 当院には市民の方に健康と安心を提供する病院としての柱があります。その一つは総合診療と専門診療の連携です。今後、一層必要になるであろう在宅医療の支援ができるよう、医師会や薬剤師会、歯科医師会の方々との連携会議や、「顔の見える医療介護福祉保育ネットワーク会議」をつくり、保育や訪問看護ステーションの方にも集まっていただいてミーティングを始めました。

 院内では職員のワールドカフェ(リラックスした会議)として「あまカフェ」を開催。自主的な活動のプロジェクトチームを募り、有志60人ほどが11のプロジェクトチームに分かれて活動しています。中でも活発なのがヘルスプロモーション。「地域医療振興協会」からアドバイスをもらいつつ、患者さんだけでなく、職員も地域も健康にするにはどうしたらよいかを議論し、地域の健康づくりを担う病院を目指しています。

 医療者の育成にも力を入れ、どの部門も卒前教育の依頼があれば幅広く受け入れ、卒後の教育も含めて、多職種協働の現場を体験してもらおうと考えています。

 もう一つは災害対策です。災害が起こった時、地域の災害対策に協力できるような病院でありたいと思っており、災害に対する備えが今後一番の課題です。

公益社団法人地域医療振興協会 あま市民病院
愛知県あま市甚目寺畦田1  ☎︎052―444―0050(代表)
https://www.amahosp.jp/

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