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統合後初の黒字を実現 職員の意識の変化が結実

統合後初の黒字を実現 職員の意識の変化が結実

掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター
宮地 正彦 企業長・院長(みやち・まさひこ)

1980年名古屋大学医学部卒業。
米ジョンズ・ホプキンス大学留学、名古屋大学第一外科(現:腫瘍外科学)、
愛知医科大学消化器外科特任教授などを経て、2017年から現職。

 2013年、掛川市と袋井市の二つの市立病院が企業団を設立し、開設した中東遠総合医療センター。2018年度には、初めて経常収支の黒字を実現した。組織を率いる宮地正彦企業長・院長に話を聞いた。

―黒字化までの経緯を。

 経営戦略を立てるための部署として経営戦略室を設けています。アドバイザーとして、すでに多くの病院でご活躍されている有識者などにも入っていただき、収益の道筋を立てる戦略を練りました。統合前はそれぞれ400〜450床規模の病院でしたが、開設時は500床、医師80人程度でスタート。病床規模からすると決して医師の数は多くはありません。戦略を練って、それを元に収益を上げるための地道な努力を皆が続けてきた結果だと思います。

 私が職員に伝えていることは「一人ひとりが病院に対して経営感覚を持とう」というものでした。

 特に経費削減については、きめ細かに対応するように依頼しました。物品を購入する際には、小さなものから大型のものまで比較検討するのはもちろん、値段交渉をすることで、できるだけ安く購入するよう改革を進めました。

 また私も含めて、部署の責任者などトップ自らも、努力することが大切です。その姿勢を示すことによって、職員全体の意識が変わっていきました。

―研修医の数も増加しているそうですね。

 数年前まで研修医は12人枠でせいぜい6、7人、多くても10人程度でした。ここ2年ほどはフルマッチの14人となるなど、東海4県の中でも上位に位置しています。ただ、これに満足していてはいけません。

 例えば外科の分野では、心臓外科の開設を目指しており、実現すれば外科のほぼ全分野を網羅できます。当院が充実した教育環境を提供することで、優秀な研修医が育ち、その人材が大学に戻ることで、大学側も当院に人材を送ることのメリットを考えてくれるようになります。

 病院スタッフ全員で、医師をはじめとした医療職の教育の徹底を、今後も続けていきます。
 さらに、当院では研修医の採用の際には、多様性を大事にしています。多くの大学出身者や社会人経験者などが加わることで、考え方の幅が広がり柔軟性を身に付けられると思います。

 何より若い研修医が集まってくれることは、静岡県全体の医療に大きく貢献できます。

 静岡県は、東京や名古屋といった大都市に挟まれるなどの事情もあって、医師確保が難しい。しかし、働き方改革を進める上でも、若い研修医が多く集まってくれることは病院運営にとって重要です。医療職の労働環境を守ることは、ひいては地域の医療を守ることでもあります。

―今後の病院運営の方針について。

 柱として考えているのは予防医療、救急医療、がん医療の3点です。
 
予防医療はスポーツを一つの切り口にしたいと考えています。アスリートのけがの予防や地域住民の疾患予防などに対応できる体制を、医師の手当なども含めて当院に構築します。

 この地域はスポーツが盛んです。袋井市は、ラグビーワールドカップの日本対アイルランド戦の試合会場となったエコパスタジアム(静岡スタジアム)があり、2020年、アイルランドオリンピックチームのキャンプ地にも選ばれたことで地域も盛り上がっています。

 また組織の機運を高めていくこともトップの大切な役割です。現場で活発な論議ができる環境づくりを心掛けたいと思っています。

 私たちは病院統合という経験を通じて大きく成長したと思います。職員の一体感もあり、そのパワーを源に、独自のアイデアを生かしながら病院運営に力を注ぎます。

掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター
静岡県掛川市菖蒲ケ池1―1
☎0537―21―5555(代表)
https://www.chutoen-hp.shizuoka.jp/

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