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糖尿病の診療に専門のチームで対応

糖尿病の診療に専門のチームで対応

特定医療法人萬生会  野上 哲史 名誉院長(のがみ・てつし)
1982年山口大学医学部卒業。熊本大学医学部第二内科、済生会熊本病院内科、
熊本第一病院副院長、同院長などを経て、2019年4月から現職。


 熊本第一病院では、糖尿病をはじめとする生活習慣病の治療のために、専門スタッフがチーム医療を展開している。糖尿病の専門医としてチームを率いる野上哲史名誉院長に、診療体制の特徴と治療に対する取り組みについて話を聞いた。

―まず糖尿病についての概要をお聞かせください。

 血液中に含まれるブドウ糖(血糖)が異常に増加し、神経や目、腎臓などの組織や機能に障害が起こる病気です。以前は「贅沢(ぜいたく)病」などと言われた時期もありましたが、現在では食生活の変化による糖質や脂肪の取り過ぎや、運動不足などを原因とする患者さんが増加しています。また、加齢による臓器の衰えから発症することもあり、患者さんの高齢化も進んでいます。

 糖尿病は大きく二つのタイプに分けることができます。患者数の95%以上を占めるのが2型糖尿病で、血糖を調整する働きのあるインスリンの分泌が低下することによって起こります。

 遺伝性も強く、生まれつきインスリンが作られにくい体質の人が脂肪の蓄積などによって発症することがあり、初期には自覚症状もないので、いつの間にか糖尿病になっていたということも少なくありません。

 1型糖尿病は免疫的な原因によって、体内でインスリンを作る〝工場〟が破壊されることで引き起こされるもので、すぐにインスリン治療が必要です。いずれにせよ、誰もが糖尿病になるリスクを抱えているので、早期発見のために定期的な健康診断を受けることが重要です。


―糖尿病の治療方針は。

 糖尿病の診断がなされると、多くの患者さんが日々血糖をコントロールしながら、長く病気と付き合っていかなくてはなりません。

 治療の第一歩は、まず一人ひとりの患者さんの家族歴、生活歴を詳しく知ることから始まります。親やきょうだいに糖尿病患者がいないか。どんな仕事をして、どんな食生活をしてきたか。体重はいつごろから増えてきたか、などです。

 一言で糖尿病といってもその原因は患者さんによってさまざまです。われわれ医師は、まず患者さんの話をよく聞いて、そのストーリーに寄り添うことを心掛けています。中には自分のことを根掘り葉掘り聞かれることに抵抗を感じる方もいますので、少しずつ距離感を縮めていくこともあります。

 そして何よりも大切なことは、本人に糖尿病患者であるという自覚を持ってもらうことです。糖尿病は「自己管理の病気」とも言われ、本人の心の動きへの対処が鍵であるとも言えます。また、治療は長期にわたります。ご家族や職場など、周囲の理解と協力も不可欠です。


―チーム医療について。

 糖尿病治療の基本は食事療法です。その原則は自分の適正エネルギーを知り、取り過ぎに注意しながら、さまざまな食品をバランス良く食べることです。しかし、実は「適量」というのが一番難しいのです。現在は多様な健康食品やサプリメントが販売されていますが、余分なものを摂取するのではなく、摂取しないものを検討する「引き算」の考え方が大切です。

 当院では治療目標を達成するために、専門医に加えて看護師、栄養士、薬剤師、理学療法士、糖尿病療養指導士がチームを組み、一人ひとりの患者さんに合わせた検査と治療、自己管理の指導を行っています。

 外来は、私を含めて専門医2人体制で月曜から金曜まで切れ目のない診療体制をとっています。全身管理や徹底した指導が必要な場合は、保険診療による1週間から2週間の教育入院も行っています。

 さらに、糖尿病が起こる仕組みなどを分かりやすく紹介したオリジナルの冊子「糖尿病テキスト」を院内で販売。糖尿病の理解を深めていただくため、今後も工夫していくつもりです。


特定医療法人萬生会 熊本第一病院
熊本市南区田迎町田井島224
☎096─370─7333(代表)
http://vansay.jp/kumamoto/

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