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精神科島しょ診療10年 離島住民の健康を守る

精神科島しょ診療10年 離島住民の健康を守る

社会医療法人葦の会 オリブ山病院
横田 泉 副院長(よこた・みつる)

1983年奈良県立医科大学医学部卒業。
京都大学医学部附属病院精神科評議会(現:精神科神経科)、
光愛病院、大阪府済生会泉尾病院などを経て、2010年から現職。

 大小のさまざまな島からなる沖縄県。専門的な治療が必要とされる精神科の病院として、医師不在の島々を巡回、入院患者の受け入れを行っているオリブ山病院。精神科島しょ診療に対する、さまざまな取り組みについて聞いた。

─病院の特徴を教えてください。

 当院は、沖縄県那覇市北部にある病院です。全病床数343床、精神科病床は232床となっています。

 急性期の患者さん対象の精神科急性期治療病棟(精神科急性期治療病棟入院料1)をはじめ、急性期を過ぎた方や社会復帰を目指す方を対象とする精神科社会復帰病棟(精神療養病棟入院料)、認知症疾患対象のやわらぎ病棟(認知症病棟入院料1)、身体合併症を持つ精神疾患対象の合併症治療精神科病棟(精神病棟入院基本料15対1)があります。そして、介護が必要な方のための精神科介護病棟(特殊疾患病棟入院料2)の5種類の病棟で構成されています。

 精神科以外では、回復期リハビリ病棟(回復期リハビリテーション病棟入院料1)、緩和ケア病棟(緩和ケア病棟入院料2)、(地域包括ケア病棟入院料2)を有しています。

―精神科島しょ診療に取り組まれています。

 ご承知のように、沖縄県は島しょ県であり、沖縄本島周辺にたくさんの島があります。その多くが、島の診療所に医師が1人という状況です。

 精神科の専門治療を受けるには飛行機や船舶などの交通手段を使って沖縄本島まで来る必要があり、巡回診療は、多くの島で待ち望まれていました。

 当院ではこれらのご要望に応えるため、2010年に巡回診療を開始し、現在では周辺の4島の巡回診療を行っています。

 2010年5月に座間味島への診療を開始し、以後、南大東島・北大東島・粟国島への診療も続けて開始しました。南北二つの大東島へは那覇空港から飛行機で約1時間、座間味島へは船で1時間、粟国島へは船で2時間かけて行っています。

 座間味島は日帰りですが、その他の3島へは1泊2日の行程です。それぞれの島の担当医師を決め、4人で分担しています。同じ医師が継続して行くことで、相談や診療がスムーズになっているのではないでしょうか。

―診療はどのように行っているでしょうか。

 それぞれの島の保健所などの施設をお借りして、毎回20件程度の外来診療を行っています。島の診療所や保健所、役所を通して相談があり、その都度、初診対応もしています。

 入院が必要な場合は、診療所の医師、保健師、役所職員の方などと連携して、当院への入院調整を行っています。入院対応が急がれる場合は、急いで入院病棟の受け入れ態勢をとっています。ご家族、あるいは役所の職員の方に付き添われた患者さんをお迎えし、連絡があったその日のうちに入院していただくことが可能になっています。

 入院するに当たっても、巡回診療をしているおかげで、患者さんに関する情報共有や連携がスムーズにできている利点があります。巡回している島からの入院は、当院でほぼカバーできています。

―島しょ診療の今後の存続はいかがでしょう。

 2010年に開始して、ようやく10年がたちました。島しょ診療は、始めた以上、途中で中止することはできません。

 病院全体でバックアップ態勢を敷きながら、今後も長期間医療を提供し続ける所存です。周辺の島々の住民の皆さんの健康増進に、当院の事業が少しでもお役に立ち続けることができれば幸いです。

社会医療法人葦の会 オリブ山病院
那覇市首里石嶺町4─356
☎098─886─2311(代表)
https://oribuyama.jp/

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