九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

筑波大学 医学医療系臨床医学域 腎臓内科学 全国規模の研究を主導 腎不全の根絶目指して

筑波大学 医学医療系臨床医学域 腎臓内科学 全国規模の研究を主導  腎不全の根絶目指して

教授(やまがた・くにひろ
1984年筑波大学医学専門学群卒業。
筑波大学臨床医学系内科助教授、米オレゴン大学分子生物学研究所留学、
筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床医学系腎臓内科助教授などを経て、2006年から現職。

 筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学・山縣邦弘教授は、全国規模の研究主導などを通じて腎臓内科分野を前進させようと試みている。根底にあるモットーは「いかに腎不全を生まないか」。注力している研究や、腎臓病治療の最前線について聞いた。

─特徴を教えてください。

 「いかに腎不全を生まないか」を目標に研究も臨床も続けてきました。

 研究では比較的大きな全国規模の臨床研究などを自分たちが主導し、あるいは全国の研究に参加する形で推進しています。研究室では腎疾患、特に糸球体障害などが起こる原因にあたる糸球体腎炎の発症因子、共通の腎機能の悪化因子、巣状糸球体硬化病変の発生原因などについて形態的、免疫学的、分子生物学的な手法を用いて研究しております。

 臨床に関しては腎障害の詳細な原因診断、それに対しての免疫抑制薬などの特殊な治療も手掛けます。腎機能が悪化したとしても、血液透析導入のため内シャント手術なども自分たちで実施できるよう腎臓内科医の育成に取り組んでいます。近年は腎移植も積極的に進めており、腎移植術後はわれわれが中心となり、フォローします。

─注力している研究は。

 厚生労働省の戦略研究で研究リーダーに選ばれ、「FROM─J研究」を主導させていただきました。全国15都県の大学病院を拠点施設として、その近隣の49地区医師会を研究実施地域とし、約550人の医師と2500人の患者さんに参加してもらいました。

 かかりつけ医のところで管理栄養士が生活・服薬・食事指導をして受診継続を促す「強い介入」とそうでない「弱い介入」の2群に分け3・5年間の介入を行い、予後の比較やフォローアップをする研究です。現在は、これらの患者さんの10年目の予後調査を実施しており、腎不全の進行にどの程度効果があったかを調査しています。

 これによって軽症例に対する腎機能悪化抑制などについては医療連携の有用性が明らかとなってきましたが、進行した慢性腎臓病については確たるエビデンスのある治療法が極めて限られていました。

 そこでもう一つの重要な柱となるのが「REACH─J」研究。全国31の腎臓の専門機関で、こちらはかかりつけ医でなく腎臓専門医が診療にあたる「CKD G3b(慢性腎臓病中等度)」以上の患者さん2200人を集めたコホート研究です。

 具体的にどのような食事療法や治療方針が効果的なのかを医学的に検討するもので、患者さんのQOLや予後の変化、どのタイミングで人工透析を始めたか、どのような患者さんが腎移植を選択したのか─などを専門医が精細に追跡調査しています。

 アメリカ、フランス、ドイツ、ブラジルでも同じプロトコルで研究を進めており、日本と海外の腎臓専門医の治療法を相対的に比較しながら最善の治療法を模索しています。

─腎臓内科の魅力は。

 まずは予防医学、そして腎生検や病理を含めた診断学、異常があったら治療をする治療学、さらに臓器不全に陥っても透析や移植という管理。臓器に対して最初から最後まで自分たちの力で管理・加療できるのが腎臓内科の魅力ではないかと感じています。

 また腎臓は人工透析という手段があり、従来はそれが「安心感」を生んだのか治療に大きな変化はありませんでした。しかし糖尿病や高血圧などの治療薬が多く開発された現在、腎臓病の新たな治療法開発がクローズアップされています。分子標的薬などを用い、腎臓の糸球体や間質の病変をいかに改善するかなど治療方法が大きく変わる過渡期にあります。新たな腎臓病治療を築き上げていくチャレンジ精神のある医師と手を取り合い、「腎不全を生まない」という目標に前進していきたいと考えています。


茨城県つくば市天王台1─1─1 ☎️029─853─3900(代表)
https://nephtsukuba.wixsite.com/nephrology-tsukuba

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる