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第92回大腸癌研究会

第92回大腸癌研究会

 年2回開く全体会合で、最新の診療トピックを議論する大腸癌(がん)研究会。今回は「早期大腸癌―病態解明と診断・治療の進歩―」「大腸癌治療ガイドライン改訂の検証―外科・化学療法領域―」の二つのテーマを掲げる。当番世話人を務める広島大学内視鏡医学・田中信治教授に、注目点や意気込みを聞いた。

病態の解明と診断をより深く

広島大学大学院医系科学研究科
内視鏡医学教授
当番世話人 

 大腸癌研究会は、大腸がんの取り扱いに関する規約や、治療ガイドラインの作成を手がけており、大腸がん診療の中枢的な組織です。

 今年1月、「大腸癌治療ガイドライン医師用2019年版」を刊行しました。前回の2016年版から内視鏡治療、外科治療、薬物療法の三つすべての領域で改訂が行われています。改訂を踏まえ、今回は3領域すべてをテーマに包括します。

 日本でのがん死亡率で大腸がんは2位、罹患(りかん)率は1位です。胃がんや肝がんの死亡率は減っているのに、大腸がんは逆に増えています。一番の要因は検診率の低さにあります。早期に見つければ、外科的手術をしなくても、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で完全切除して根治できるのです。そこにつなげるためにも、病態の解明と診断についていま一度、深く掘り下げて議論する必要があります。

 病態が解明されることで、診断学も治療も発展します。ですから基礎領域の先生の発表も盛り込んでいます。診断領域もCTコロノグラフィーやカプセル内視鏡などが登場し、診断手法は選択肢が広がっています。こうした最新かつ包括的な知見を基に「早期大腸がんのすべてを語り尽くそう」というコンセプトです。

AIとゲノム医療

 人工知能(AI)とゲノム医療は、外せないトピックになりそうです。AIは、診断の効率化と底上げを促進する可能性を秘めています。例えばカプセル内視鏡の画像の読影。今は医師がパソコン上で長時間かけて読影しています。AIが疾患を正しく診断してくれるのならば、読影に費やす時間を人にしかできない業務により振り向けることができます。

 さらに、読影に熟達した医師と経験の浅い医師とでは、診断にどうしてもばらつきが生じます。その点も均てん化を図ることができます。

 ゲノム検査によって、患者一人ひとりのより効果的な治療を選ぶ「個別化医療」も関心の高いテーマでしょう。遺伝性の大腸がんなど、ゲノム情報の解析で大きく変わりつつある医療現場の動きと課題を丁寧に議論します。

 二つ目のテーマは治療ガイドラインの検証です。ガイドラインは、全国どこの患者も同じレベルのがん診療が受けられるようにするためのもの。ただ、いつの時代も、完璧なガイドラインなどありません。医学の進歩と共にさまざまな基準や適応が変わります。

 特に化学療法の分野は進歩が早い。「現ガイドラインをもっと発展させられる」との視点で、将来の大腸がんの診察や研究に役立つ情報を共有します。

「小腸癌取り扱い規約」作成を目指して

 大腸癌研究会は普段から、さまざまなプロジェクト研究を実施しています。その成果を発表する委員会とプロジェクト研究を、研究会前日の1月23日に企画。いま、プロジェクト研究の一つとして「小腸癌取り扱い規約」の作成を目指しています。「暗黒の大陸」と言われたほど早期診断が難しい小腸。カプセル内視鏡やバルーン内視鏡を使って早期発見につながっています。全国の会員施設から集積したデータを報告する予定です。

 今回の会場は、広島湾岸に立つグランドプリンスホテル広島です。1月はカキのシーズン。瀬戸内の豊かな海の幸や、熱々のお好み焼きもおいしい時期です。ホテル前の桟橋からは、世界遺産の厳島神社がある宮島への高速艇も出ています。地域の雰囲気も楽しんでほしいですね。

学会の主なプログラム(予定)

●モーニングセミナー 午前7時50分〜 ●ランチョンセミナー 午前11時10分〜正午

●アフタヌーンセミナー 午後0時15分〜午後1時5分

●ポスターと口演 午前8時55分〜午後4時15分内で随時実施
【主題1】 早期大腸癌 ―病態解明と診断・治療の進歩―
【主題2】 大腸癌治療ガイドライン改訂の検証 ―外科・化学療法領域―

●総合討論 午後4時15分〜午後6時15分

会期:2020年1月24日(金) 会場:グランドプリンスホテル広島
運営事務局:株式会社コンベンション リンケージ jsccr92@c-linkage.co.jp
学会HP:http://jsccr.umin.jp/92/

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