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第84回日本循環器学会学術集会 COVID-19特別企画「新型コロナウイルスパンデミックに循環器内科医として立ち向かう」

第84回日本循環器学会学術集会 COVID-19特別企画「新型コロナウイルスパンデミックに循環器内科医として立ち向かう」

」(会長 木村剛氏:京都大学大学院循環器内科学教授) が、7月27日〜8月2日、web会議システムを活用して開かれ、約1万6800人が参加した。

 今回は、8月1日開催のCOVID-19特別企画「新型コロナウイルスパンデミックに循環器内科医として立ち向かう」 の全4講演から循環器内科医による3講演の要旨を紹介する。

院内感染とその後の対応
氏(神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科)

 神戸市は人口150万人。基幹病院の一つである当院は、約800床を擁している。救急車受け入れ台数は、年間約1万件。COVID―19に関しては、神戸市内の指定医療機関に認定された。受け入れたコロナ患者は、7月末までに130人。重症が中心だ。

 3月3日、陽性患者が当院に入院。またたく間に患者が増え、12床の陰圧管理ができる専用病床では足りなくなった。その後、専用病床を51床に増やし病院全体のベッドコントロールを見直した。

 6床の循環器集中治療室(CCU)もコロナ患者用の専用病床になり、循環器診療の機能を落とさざるを得ない状況に。救急受け入れも制限、という前代未聞の事態になった。

 循環器内科は、エアロゾルが発生する高リスク検査は行わないという方針が出た。カテーテルの実施のため、感染防護のシミュレーション、防護具の着脱訓練、カテ室のゾー二ングなどの対応を徹底した。

 必要なのに入院管理を受けられない、予定していた手術を受けられないといった患者が出ないよう、「神戸心不全ネットワーク」を活用し、市内の病院の空床情報などがリアルタイムに共有できるシステムをつくり、それを運用しながら患者を受け入れたり、別病院に送ったりした。

 医療従事者の感染リスクの低減と、急性心不全患者に対する診療の質の担保。この両立は今後の課題だ。

 コロナ診療を通じて、病院内での情報共有や指揮系統の確立が大事だと感じた。コロナ診療には不安やストレスがある。情報共有、さらには思いやりで負担感を軽減でき、良い結果につながると考える。

新型コロナウイルスパンデミックにおけるACS診療
氏(北播磨総合医療センター循環器内科)

 ACS(急性冠症候群)の中でも急性心筋梗塞は特に知られており、国内の死亡者数は年間約3万2000人だ。

 現在、心筋梗塞の治療は、カテーテルによるPCI(経皮的冠動脈インターベンション)が主流。ところがコロナ第一波ではカテーテル室での感染対策の難しさ、病床不足、医療資材の不足など数々の問題が浮上し、PCIの実施が困難を極めた。

 当院は、今回のコロナにおいて、日本心血管インターベンション学会の心臓カテーテル室での感染対策への提言に沿って対応。N95マスクのフィットテスト機器の活用、防護具着脱の際の2人チームでの確認など、特に個人防護に力を入れている。

 今、大事なことは、問題が起きたことを非難するのではなく検証すること。それが感染防止の唯一無二の方法ではないかと考える。

 同時に、通常診療を維持することの難しさを感じている。北播磨の人口は26万人。当院は救急の基幹病院として、入院患者の定数を20%削減してゾーニングを設定することが必要になった。

 循環器に関しては、救急を止めないために、予定していた患者の入院を止めざるを得ない結果になり、4月は患者数が35%減った。また、患者自身の意志で来院するウォークインの数も4月は50%減。受診控えが疾患に及ぼす影響も懸念される。

 当科では心筋梗塞へのカテーテル治療を中心に、循環器医療の体制を維持しなければならない。感染対策を徹底し、ベストの方法を模索していきたい。

新型コロナウィルスと血栓症
氏(岐阜市民病院第一内科)

 新型コロナ肺炎の典型的なCT画像にクレイジー・ペービング・パターンというマスクメロン様模様と微小血管の拡張を認め、剖検で小肺動脈に線維性微小血栓が認められることから、COVID―19の病態の本質は血栓症であると考える。

 ウイルスの侵入により、生理的な阻止から免疫血栓が惹起される。炎症性サイトカイン(IL―6など)の過剰分泌は免疫血栓が過大に反応し、全身に微小血栓ができる。また、IL―6で凝固能が亢進する。よって、IL―6とD―ダイマー、フィブリノーゲンの推移で段階を把握する必要がある。

 典型的な経過は、1週間程度の風邪様症状があり、80%が軽症のまま治癒、残り20%は呼吸困難からICUを必要とする。初期から積極的に治療し重篤化させないことが肝要である。

 COVID―19の本質的な治療標的は、第1にウイルスの侵入阻止で、細胞表面関連膜貫通タンパク質セリン2抑制剤のフサンが有効である。第2にサイトカインの過剰分泌を抑制する抗IL―6受容体抗体のアクテムラやステロイドのデキサメサゾンが有効である。最後に血栓症治療としてヘパリンが有効と考えられるが、いずれも今後検証を重ねる必要がある。9割に後遺症を認め、全身性血栓症が主原因と疑われるため、今後抗凝固療法の適応も議論が必要である。

 循環器内科医は血栓と〝旧知の間柄〟である。COVID―19の病態の本質は自己防衛機構が招く血栓症ならば、循環器内科医の役割は大きい。知識の蓄積と、循環器内科視点での継続的な研究が必要である。

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