九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

第61回日本肺癌学会学術集会 肺癌撲滅を目指して2020

第61回日本肺癌学会学術集会 肺癌撲滅を目指して2020

 肺がん治療の今を、さまざまな角度から報告、討議する「」が、岡山市で開催される。今回は、新型コロナ対策でウェブでの参加も可能になっている。会長で、岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科教授の木浦勝行氏に概要と見どころを聞いた。

テーマに込めた若手医師への期待

 私が肺がん治療に携わった当時、進行肺がんは治療を尽くしても2年を超えて生存する患者さんはわずかしかいない状況でした。2002年に登場して注目された分子標的治療薬「イレッサ」も延命効果はありましたが、治癒には至りませんでした。

 ところが2014年、新しい分子標的治療薬が世界に先駆け、日本の製薬会社から発売されました。この免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」を開発したのは当時京都大学医学部に籍を置いていた本庶佑先生(現:京都大学大学院医学研究科附属がん免疫総合研究センター長)率いる研究チームです。それまでの免疫治療は、がん特異抗原を体内に送り込み、免疫を活性化させようと研究し続けていたものの思うようにならず、世界中の研究が壁にぶつかっていたとき、本庶先生は想像もしなかった角度から原因を見つけました。

 免疫は自分の体を傷つけないために過剰反応を防ぐ〝チェックポイント(検問所)〟と呼ばれる機能を備えています。がん細胞は先回りして、この機能に関与するPD-1分子を刺激し、ブレーキをかけていたのです。このブレーキを外す抗PD-1抗体を持った薬がオプジーボ。米国の研究データでは、投与をやめても生存する患者がいることが示されています。

 進行肺がん治療は今、根治を目指すことができる新しい時代を迎えつつあります。扉を開けるのは若い先生たちです。岡山を舞台に肺がん治療を前進させてほしい、という願いを込めて「肺癌撲滅を目指して」をテーマにしました。

多彩なプログラムで活発な討論を

 目玉は、緊急企画と銘打った「COVID-19流行下の肺癌治療」。聖マリアンナ医科大学の古屋直樹先生が体験した現場の診療実態をはじめ、日本肺癌学会のエキスパートオピニオンの作成にあたったワーキンググループ委員長の千葉大学医学部附属病院腫瘍内科の滝口裕一教授と、東京医科大学呼吸器・甲状腺外科の池田徳彦教授が、コロナ禍の肺がん診療を語ります。

 また、ゲノム医療が本格的に幕を開けた現在、今後の肺がん治療に欠かせないAIやビッグデータ解析力の活用などをテーマにしたシンポジウム、医療従事者および関係者必見のワークショップや教育セミナーなど、多種多彩なプログラムを用意しています。

 私が演者となる会長講演は「進行肺癌の治癒を目指して」と題して行います。内容は、2種類の抗がん剤の投与と並行して放射線照射を行う「シスプラチン・ドセタキセル療法同時併用放射線治療法」の開発経緯を含む、これまでの研究成果と今後の方向性を語ります。

「ハイブリッド形式」で開催

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、今学会は〝人が密に集まらない環境での会場参加〟と〝ウェブ参加〟のハイブリッド形式で開催します。参加登録も現地参加とウェブ参加に分けて行います。ご理解のほどよろしくお願いします。多くの方の参加をお待ちし、活発な討議、討論を楽しみにしています。

学術集会の主なプログラム(予定)

●緊急企画COVID-19流行下の肺癌治療
11月12日(木)午前9時~同11時
「COVID-19がもたらした苦悩・葛藤と新たな光(現場医師の立場から)」 
古屋 直樹氏(聖マリアンナ医科大学)
「COVID-19パンデミックにおける肺がん診療 -Expert Opinion作成について内科の立場から」
滝口 裕一氏(千葉大学医学部附属病院)
「COVID-19流行下の肺癌治療(外科)」 池田 徳彦氏(東京医科大学)

会期:11月12日(木)~14日(土)
会場:岡山コンベンションセンター、ホテルグランヴィア岡山、ANAクラウンプラザホテル岡山、岡山シティミュージアム、岡山県医師会館
運営事務局:メッド メール: jlcs2020@med-gakkai.org
学会HP:http://conference.haigan.gr.jp/61/

※情報は10月10日現在のものです。開催について最新の情報は学会HPでご確認ください。

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる