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第60回 中国・四国精神神経学会 暮らしに寄り添う精神医療・保健をめざして

第60回 中国・四国精神神経学会 暮らしに寄り添う精神医療・保健をめざして

 今回のテーマは「暮らしに寄り添う精神医療・保健をめざして」。「第43回中国・四国精神保健学会」も同時開催され、地域に根差した精神科医療の在り方を、多職種で共に考える好機となりそうだ。会長を務める島根大学医学部精神医学講座の稲垣正俊教授に、学会の見どころや意気込みなどを聞いた。


精神医学講座教授 会長
氏(いながき・まさとし)

精神保健学会との合同開催の意義

 伝統的に精神保健学会と合同で開催しています。保健学会と合同開催であることで、看護師さんなどさまざまな職種の方々も一堂に会することができます。

 近年、職種横断的に精神医療に取り組むことの重要性が増している中、さまざまな勤務地、そして職務に当たっている方が集まる意義も増しています。また、地域や行政などその土地に根差した活動を知ることも重要です。

 これまでの精神科医療は、精神科病院での入院治療が主流でした。今では、患者さんの生活向上のために、外来や訪問診療へと精神科医療の幅が広がってきています。入院、外来、訪問診療をいかに連続的に見ていくか。そのつながりが重要なのです。

 また、保健福祉として考えたとき、地域包括支援センターや訪問看護、保健所で働く方の力が必要不可欠。慢性疾患の患者さんの場合は、作業所や地域コミュニティの方々の力も欠かせません。日頃の取り組みや知見を共有できればと思っています。

暮らしに寄り添ってきた先生の講演

 現在、四つのシンポジウムの内容を詰めているところです。治療薬といった精神医療の一部分の話だけではなく、暮らしに寄り添った話題も幅広く織り込む予定としています。

 治療薬で取り上げるのは、統合失調症治療薬のクロザピンです。治療抵抗性の統合失調症では切り札的な薬とも言えますが、複数の重篤な副作用も報告されており、細心の注意が必要なことでも知られています。

 さらに血液疾患の副作用も報告されていることから、血液内科など他科との連携も欠かせません。今後取り入れていこうとしている方々に有益なシンポジウムになれば幸いです。

 また、昨今問題になっている復職支援、さらには昨年大きな被害のあった災害場面での精神保健活動、小児精神医療についてなども取り上げています。これらは病院やクリニックだけではなく、地域や自治体、職場や学校との連携が必要です。深く考える契機となればと考えています。

従来の精神科の領域を越えて

 特別講演では、認知症と、精神保健からみた精神医療の二つを計画しています。

 認知症については、川崎医科大学の石原武士先生をお招きします。もともと認知症の地域医療でご活躍された方ですが、地域医療のみならず、病態研究や総合病院における精神科医療の在り方など幅広い見識をお持ちです。

 一方の精神保健からみた精神医療については、国立精神・神経センター(現:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)において自殺予防総合対策センター長を歴任された竹島正先生にお任せします。自死予防に加えて生活困窮者の支援など、地域での住民のメンタルヘルス向上を掲げて活動されている方です。今回のテーマにふさわしいお話をしていただけるものと期待しています。

 演題は、多職種の方からさまざまなテーマが集まっています。

 私自身、昨年島根県に着任したこともあり、コンテンツの枠を越え、島根県の良さもアピールできればと思っています。季節も晩秋の良いタイミングだと思いますので、おいしいものも食べて島根を満喫していただきたいですね。

学会の主なプログラム(予定)

●認知症を深刻化させないために
11月21日(木)午前10時50分〜同11時50分 石原 武士氏[川崎医科大学]

●精神保健からみた精神医療 −現状と展望−
11月22日(金)午前11時10分〜午後0時10分 竹島 正氏[川崎市精神保健福祉センター]

会期:11月21日(木)・22日(金) 会場:松江テルサ
運営事務局:株式会社メッド spn-cs60@med-gakkai.org
学会HP:https://www.med-gakkai.org/spn-cs60/


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