九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

第58回日本リハビリテーション医学会学術集会 活動を育むリハビリテーション医学 元紀(げんき)の国和歌山

第58回日本リハビリテーション医学会学術集会 活動を育むリハビリテーション医学 元紀(げんき)の国和歌山

 従来のリハビリテーション医学のイメージを払拭して、活動を育む医学という正しい概念を伝えたい−。京都市で6月に開催される第58回日本リハビリテーション医学会学術集会で会長を務める田島文博氏に、テーマに込めた思いや見どころを聞いた。

治療としてのリハビリテーション、理解深める

 リハビリテーション医療は、医療従事者以外の多くの方にとって、治療後の機能回復や介護の一部として行うというイメージが定着しているように感じています。しかし、私たちが行っている急性期リハビリは全く異なるものです。発症と同時にスタートし、負荷の高い運動を課して患者さんの意識と身体を活性化することにより、病気に打ち勝つ力を高めて人命をも直接的に救うという概念で、治療の一環として行うものです。

 リハビリテーションは、ラテン語で「再び」の「リ」と、「適した」の「ハビリス」が語源とされ、「再び適した状態になること」を意味します。欧米では近年、「プレハビリテーション」という言葉が使われていて、これは、身体の活動性が弱まる前にあらかじめ補強するという考え方です。手術が必要な患者さんの多くは、術前から術後に傷口が癒えるまでベッドで安静に過ごしてからリハビリテーション治療を開始しますが、落ちた体力は簡単には戻りません。「プレハビ」は、体力低下を考慮し、術前から運動を始めることで回復期間の短縮を図るというものです。

 当大学附属病院ではプレハビの考え方を取り入れていて、がんで開胸・開腹手術をした80歳代の患者さんが、術後2週間ほどで歩いて退院する姿は珍しくありません。リハビリを取り巻く状況の変化に合わせて当学会は2017年、リハビリテーション医学を「活動を育む医学」と再定義しました。障害を克服するという従来の趣旨に加えて、ヒトの営みの基本である「活動」に着目し、その活性化を目指しています。この趣旨を広く伝え、理解を深めてもらいたい。テーマはそんな思いを込めて「活動を育むリハビリテーション医学」としました。

海外の著名研究者講演、オンデマンド配信も

 特別講演では、海外の著名な研究者に登壇していただきます。目玉の一つは、「エクササイズ対カウチポテト(仮題)」と題したベンジャミン・レビン氏の講演。宇宙飛行士の筋力低下に着目し、宇宙船内でのトレーニングを考案したことで知られる米国の研究者です。無重力状態を、ソファに寝そべってスナック菓子を食べながらだらだら過ごすことを意味する造語「カウチポテト」に重ね、起立・運動で活動性を育むメカニズムを語ってもらいます。デンマークのベンテ・ペダーセン氏にも講演してもらいます。運動した結果、何が体を良くしているのかというメカニズム面の研究をして、運動時に筋肉から出る物質「マイオカイン」が、さまざまな病気の改善に有効な働きをすることをデータで証明した研究者です。

 会長講演では、私の講座で取り組んでいる「PROr(プロリハ)」の活動を紹介します。リハビリテーション科の医師とプロフェッショナルな療法士らによるチームで、脳卒中などの発症から24時間以内にプロリハを開始すると、数値化した日常生活動作の値が有意に改善することを、多くの実例とともに説明します。

 ハイブリッド方式(6月13日はウェブ開催のみ)で開催し、講演や発表をオンデマンド配信します。新型コロナウイルス感染症対策を徹底して開催しますので、多くの参加、視聴をお待ちしています。

学術集会の主なプログラム(予定)

●特別講演「エクササイズ対カウチポテト(仮題)」
ベンジャミン・レビン(米テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンター)
●特別講演「薬としての運動、マイオカインの役割」
ベンテ・ペダーセン(デンマーク・コペンハーゲン大学)
●会長講演「活動を育むリハビリテーション医学」
6月13日(日) (和歌山県立医科大学)          ※敬称略

会期:6月10日(木)~6月13日(日)
会場:国立京都国際会館 運営事務局:コングレ
メール:58jarm2021@congre.co.jp
学会HP:http://www.congre.co.jp/58jarm2021/

※情報は3月10日現在のものです。開催について最新の情報は学会HPでご確認ください。

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる