九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

第57回日本移植学会総会 ~成熟期に入った臓器移植~

第57回日本移植学会総会 ~成熟期に入った臓器移植~

 「第57回日本移植学会総会」は、関連する法律の施行から20年以上が経過して日本の移植医療が成熟期に入りつつある現状や、今後の方向性に関する議論を深めるため、多岐にわたるプログラムを用意している。会長である小野稔氏に、総会への思いや注目点を聞いた。

会長 小野 稔 氏 (東京大学医学部附属病院心臓外科 教授)

新たな一歩を踏み出す機会に

 日本では1997年に臓器移植法が施行されましたが、この法律には厳格なルールがあり、実際には脳死後の臓器提供が難しい面もありました。心臓移植は多くても年間十数件で、0件~数件しかない状況が続いていました。この問題を解消するため、議員立法による改正臓器移植法が2010年に施行。本人の意思が不明な場合でも、ご家族による推定同意で臓器提供が可能になり、15歳未満の子どもも臓器提供ができるようになりました。それに伴い移植手術も年々増加し、19年には脳死後の臓器提供が過去最多の97件に。20年は新型コロナウイルスの影響で減少しましたが、今後も順調に増えていくことが予想されます。

 最初の臓器移植法の施行から20年以上、改正法から約10年が経過し、社会の理解も深まったことで、ようやく日本の移植医療も成熟期に突入したと思っています。これまでの脳死移植の成績などを振り返りながら、新たな課題に取り組める環境が整いつつあります。本総会では、これからの移植医療が進むべき方向性について皆さんと一緒に考えていきます。

過重労働解消、体制強化 課題を議論

 国内の移植医療には多くの課題があります。例えば、臓器移植の運用システム。日本では脳死臓器移植手術と他の緊急手術を同列に扱う施設が多く、他の緊急手術があることを理由に移植手術を断るケースがあります。

 その他にも、臓器提供や移植手術における時間外勤務手当の充実、脳死判定された患者さんのご家族に対する心のケア、日本臓器移植ネットワークにおけるコーディネーターの過重労働の解消・体制強化など、改善すべき点が多いです。総会では、これらの課題解決に向けたディスカッションを用意しています。

 加えて、新型コロナウイルス感染症も主要テーマの一つ。当学会では20年2月にコロナ対策委員会を結成し、同年3月には最初の提言を出しました。それ以降も状況に応じながら、移植医療におけるPCR検査の位置付けや、患者さんのワクチン接種のタイミングなど、頻繁かつ積極的に提言を繰り返しています。

 移植医療は免疫抑制剤などの影響で、「感染に弱い状況」を患者さんにつくってしまう。だからこそ他人任せではなく、我々が主体となってコロナに立ち向かわなければいけないと思っています。これまでの提言などの取り組みを振り返り、今後の対策についても大いに議論を深めたいですね。

移植医療の未来 最新のトピックも

 現在、日本の臓器移植は世界でも有数の成績を収めています。本総会を、この現状を維持しながらも、さらに向上させるためのきっかけをつくる場としたい。

 プログラムには移植医療における精密医療やリキッドバイオプシーの活用、新たな免疫抑制剤・エベロリムスの効果についてなど、最新のテーマも多数含まれているので、これらを通して移植医療の将来につながる議論をしたいと思っています。

 現地開催を主体として、地域や職場などの制約によって参加できない方のため、ウェブ配信も行います。多くの方にご参加いただき、活発に意見が交わせることを期待しています。

主なプログラム(予定)※敬称略

●特別講演「日本における移植医療のあり方(仮題)」
9月19日(日) 門田 守人(一般社団法人日本医学会連合会長)

●シンポジウム「COVID-19パンデミック下における臓器提供・臓器移植」
9月19日(日)

●シンポジウム「移植外科医・コーディネータの働き方改革」
9月20日(月・祝)

会期:9月18日(土)~20日(月・祝) 会場:京王プラザホテル
運営事務局:日本コンベンションサービス メール:57jst@convention.co.jp
学会HP:https://site2.convention.co.jp/57jst/

※情報は6月10日現在のものです。開催について最新の情報は学会HPでご確認ください。

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる