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第46回日本骨折治療学会 学術集会

第46回日本骨折治療学会 学術集会

 7月3日(金)、4日(土)、西日本総合展示場新館・AIM3階(福岡県北九州市)で「第46回 学術集会」が開催される。

 今回のテーマは「人口ピラミッド変動時代の骨折治療」。高齢者増加と社会を支える生産年齢人口減少という人口ピラミッドの急激な変化の影響は大きく、骨折治療も例外ではない。今学会では、最新の研究成果から地域医療の連携までカバーされ、骨折治療の現在を知る貴重な機会となりそうだ。会長を務める九州労災病院の神宮司誠也副院長に、本会の注目点を聞いた。

転換期を迎える骨折治療

 日本は明治以降、初めて人口が減少する局面を迎え、少子高齢化と生産年齢人口減少という、人口ピラミッドの急激な変化に直面しています。

 本学会の開催が決まった2017年、ナショナルデータベースを基に、わが国の骨折治療の現状について調査しました。外来・入院別骨折治療総数を性別・年齢区分別に比較すると、女性に限り入院数が年齢とともに右肩上がりになります。50歳以上の入院骨折治療数を男女で比較すると、女性の入院数は男性の約20倍で、治療部位は、骨粗しょう症による脆弱(ぜいじゃく)性骨折の好発部位。年齢・部位ごとの手術治療数では、90歳以上の大腿骨頸部骨折がトップでした。

 いまや整形外科全体の入院手術治療において約3割が骨折症例であり、その多くが高齢者の脆弱性骨折治療でした。その現状を踏まえ、今後の展望まで見据えた学会にしたいという思いから、今回のテーマを「人口ピラミッド変動時代の骨折治療」としました。

※図1:K081人工骨頭挿入術(股)は含まれていない。 
図2:年間総計5千未満の部位は省いている。
下腿と指については年齢区分別データ非公開の為、含まれていない。
出典::ナショナルデータベース(NDB)からみた、
我が国における骨折治療の現状.骨折、2019年

多職種連携と地域包括ケア

 高齢者の骨折には、壮年期と比較して難しい点が二つあります。第一に、もともと骨が弱い方の骨折なので、骨を留めるのに工夫が必要であること。第二に、全身状態に問題がある場合や、認知症などでコミュニケーションが取れない場合があること。私たち医師だけでなく、看護師の協力や薬剤師、理学療法士の先生、MSW(医療ソーシャルワーカー)といった多職種の協力が必須となります。

 本学会は医師向けではありますが、医療職の方も参加できます。関連企画は2日目に開催しますので、特に地元のさまざまな職種の方に参加いただいた上で、できれば一緒に勉強をしていただきたいと思っています。

 また、地域医療構想によって病院の役割分担が進む状況ではありますが、高齢者の骨折は開業医の先生や急性期病院、リハビリテーションなどを担う回復期病院など、地域の医療機関が連携し、対応しなくてはなりません。

 従来は、主に手術をする先生方の発表が行われていましたが、今回は、開業医や急性期病院、在宅療養後方支援病院の先生を交えたシンポジウム「高齢者大腿骨近位部骨折に対する治療動線の現状」を2日目の午後に企画しています。産業医科大学公衆衛生学教室の先生や行政の方による招待講演も実施します。

 現在は、ある特別な需要が起きていて、それに応えるためには多くの職種、施設と協力しなくてはならない時代です。これまで治療に尽力してこられた先生方と一緒にぜひ参加していただき、スムーズな治療に結び付けていただければと思います。

最新の研究や世界の潮流も

 医療を取り巻く状況の変化や生産年齢人口の減少により、入院期間の短縮、早期職場復帰が求められています。今後はより早く、確実な骨折治癒を促進するような、積極的保存療法が重要になっていくと考えられます。今回は、超音波骨折治療研究会との合同シンポジウムを基礎編、臨床編に分けて行います。早く確実な治療法の可能性をアピールしたいと考えています。

 高齢化は日本に限らず、グローバルな問題です。今回は初めて日米骨折治療学会合同で、脆弱性骨折のシンポジウムを実施します。同時通訳を準備していますので、どなたでも日本だけでなく世界の情勢も知ることができます。そのほか、韓国や台湾、英国などから、多くの医師をお呼びしています。日本国内はもちろん、この機会を国際交流や情報交換に役立てていただきたいと思います。

 懇親会ではリニューアルした小倉城を貸し切ります。この機会に北九州もぜひ楽しんでください。

神宮司 誠也(じんぐし・せいや)独立行政法人労働者健康安全機構 副院長
1981年九州大学医学部卒業。米NIH(国立衛生研究所)留学、
九州大学大学院医学研究院整形外科准教授、九州労災病院整形外科部長などを経て、
2009年から現職。同関節再建センター長兼任。


学術集会の主なプログラム(予定)

●特別講演 「高齢化の進展と医療者の役割〜社会・職場復帰の意義〜」
7月3日(金)午後 有賀 徹氏(独立行政法人労働者健康安全機構)

●シンポジウム 「高齢者大腿骨近位部骨折に対する治療動線の現状」
7月4日(土)午後 座長:前 隆男氏(佐賀県医療センター好生館 外傷センター)、神宮司 誠也氏(九州労災病院)

●日本骨折治療学会・超音波骨折治療研究会合同シンポジウム 「骨折に対する積極的保存療法(基礎編・臨床編)」
7月3日(金)午前 【基礎編】座長:渡部 欣忍氏(帝京大学医学部整形外科学講座)ほか
7月3日(金)午後 【臨床編】座長:占部 憲氏(北里大学メディカルセンター)ほか

会期:7月3日(金)・4日(土) 
会場:西日本総合展示場 新館/AIM3階 
運営事務局:コングレ九州支社 jsfr2020@congre.co.jp 
学会HP:http://www.congre.co.jp/jsfr2020/

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