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第44回日本脳神経CI学会総会 Neuroimagingを用いた中枢神経疾患の病態解明~画像原理の正しい理解と自由な発想~

第44回日本脳神経CI学会総会 Neuroimagingを用いた中枢神経疾患の病態解明~画像原理の正しい理解と自由な発想~

 「脳神経分野の進歩に貢献するイメージング技術」をテーマにした第44回日本脳神経CI学会総会が4月、ウェブ配信方式で開催される。学会長を務める小笠原邦昭氏に、テーマに込めた思いや見どころを聞いた。

「見える化」の進展による明と暗

会長

(岩手医科大学脳神経外科 教授

 19世紀後半、レントゲン博士が発見したエックス線によって幕を開けた画像診断が、20世紀後半になるとコンピューターの力を借りて医学分野における「見える化」が進展しました。今では開頭せずに脳を精密に観察できるようになっています。

 身体の観察したい部分を輪切り画像で見せてくれるエックス線CTに続き、磁気によって身体の原子の動きをスキャンし、コンピューターで画像化するMRIが登場。さらにfMRI、PETなどの組み合わせで、より精密な画像を得られるようになりました。しかし、「見える化」の過程や原理についての理解が浅いと、機器の得意、不得意など考慮すべき事柄を無視した読解になりがちです。特定のイメージングにこだわりすぎて臨床と隔たりが生じることもあり、臨床医がどの程度まで原理を理解すべきかの線引きは難しいです。

 そこで、盛岡大会では諸先輩や専門家の講演やシンポジウムを通じ、臨床現場での診断、手術戦略などの画像原理を正しく理解する場にします。中枢神経疾患の病態解明の参考となる最先端の情報を提供し、脳神経外科全体の発展に寄与できればと考えています。

MRIでアルツハイマーを画像診断

 目玉となるプログラムはやはり特別講演。岩手医科大学医歯薬総合研究所の佐々木真理教授には多施設臨床研究における脳画像クラウド情報システムの意義について語ってもらいます。佐々木教授は企業と連携し、治験のために使う画像を格安でレンタルする新たなクラウドを国の予算で構築しました。これまでは企業治験や医師主導治験で重要となる画像収集に莫大なコストがかかっていたため、画像研究に大きく貢献すると思います。

 京都大学腫瘍薬物治療学講座・腫瘍内科の武藤学教授には「サイバーオンコロジーによる電子カルテデータ収集と活用」と題した講演をしていただきます。日常診療を記録する電子カルテはメーカーごとに仕様が異なるため、医療機関などに集積された診療情報を活用して社会還元することができません。そこで、武藤教授は電子カルテの抗がん剤治療の記録をデータベース化し、これを発展させて異なる電子カルテのデータも統合できるシステムを構築しました。その経緯と医学に果たす意義を語っていただきます。

 北海道大学大学院医学研究院放射線科学分野の工藤與亮教授の講演テーマは「定量的磁化率マッピング法によるアルツハイマー病の早期診断MRI」。アルツハイマー病を初期段階で把握する方法としてPETが薬事承認されていますが、保険適用外のため臨床応用が進んでおらず、工藤教授はMRIで行う方法を発見しました。同疾患は脳内で作られるタンパク質の一種アミロイドβが神経細胞に沈着・蓄積することで発症します。この物質には脳内の鉄分も吸着するので、鉄を調べるのが得意なMRIで鉄分の分布や量を測定すればいい、との発想で診断法を構築しました。PETより費用が安く診断時間も大幅に短縮できるため、臨床応用の進展が期待されています。自由な発想によるイメージング活用の好例だと思います。

 ウェブ配信方式での開催となりますが、先端情報を多く盛り込んだ学会総会にしますので、ご期待ください。

学会の主なプログラム(予定)

●特別講演1「多施設臨床研究における脳画像クラウド情報システムの意義」
4月9日(金) 佐々木 真理(岩手医科大学医歯薬総合研究所超高磁場MRI診断・病態研究部門教授)

●特別講演2「サイバーオンコロジーによる電子カルテデータ収集と活用」
4月10日(土) 武藤 学(京都大学腫瘍薬物治療学講座・腫瘍内科教授)

●特別講演3「定量的磁化率マッピング法によるアルツハイマー病の早期診断MRI」
4月10日(土) 工藤 與亮(北海道大学大学院医学研究院放射線科学分野教授) ※敬称略

会期:4月9日(金)・10日(土) 会場:いわて県民情報交流センター(アイーナ)
運営事務局:ヤマダプランニング メール:ci44@yamada-planning.co.jp
学会HP:http://ci2021.umin.jp/

※情報は1月10日現在のものです。開催について最新の情報は学会HPでご確認ください。

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