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第38回日本肝移植学会学術集会 肝移植医療の新たな展開 Advance toward the New Stage

第38回日本肝移植学会学術集会 肝移植医療の新たな展開  Advance toward the New Stage

 第38回日本肝移植学会学術集会が6月25日(木)・26日(金)に松山市で予定されている。改正臓器移植法施行10年、MELDスコア導入1年などの節目を迎え、「日本の肝移植医療は新たなステージに入る」と話す髙田泰次集会会長に、見どころを聞いた。

増加見込みの臓器提供件数

集会会長 
(愛媛大学大学院医学系研究科 肝胆膵・乳腺外科学講座教授)

 改正臓器移植法の施行からちょうど10年。脳死による臓器提供条件が緩和されたことにより、脳死下での臓器移植は年間70件近く実施されるようになりました。

 厚生労働省や日本移植学会は今後10年で、脳死下での臓器提供件数がさらに増えると予測。今学会では手術数が増加した場合に、病院や医師はどう対応していくのかを、議論する予定です。

 脳死や心停止下での臓器移植は常に緊急手術になるので、手術室とスタッフの確保、その時に予定されていた他の手術のリスケジュール、ドナーのいる病院からレシピエントのいる病院までの臓器の効率的な受け渡しなど、調整すべきことは多岐にわたります。移植チームのスタッフがオーバーワークにならないよう、うまくシステムを作っていきたいと思います。

 MELDスコアが導入されて1年になろうとしています。MELDスコアというのは、肝機能や腎機能を示す数値を基に計算して出した指標です。この指標を基準として、重症の人から移植することにしました。MELDスコアが高い人は移植後の成績が悪いということが分かっていますので、合同検討会で検証する予定です。

 今学会では日本移植学会や日本肝臓学会、日本臓器移植ネットワーク、厚労省や臓器移植コーディネーターなど多くの関係者に参加いただき、医療的側面と社会的側面の両方から肝移植医療の在り方を検討していく方針です。

移植医療が直面する課題

 肝移植医療の直面する課題として、若手人材の確保があります。若い人に興味を持ってもらえるよう、肝移植の醍醐味(だいごみ)を伝える目的のシンポジウムを準備しています。生体肝ドナーに対する低侵襲の肝切除手術の様子をビデオで流すことも予定しています。

 また、移植医療全体の社会的な課題として、臓器移植コーディネーターの育成や移植患者の就労支援があります。臓器移植コーディネーターの育成については、今回初めてパネルディスカッションを企画しました。移植患者の就労支援については、各地の現状を取りまとめて検討しようと、要望演題のテーマにしています。

 ほかにも、適応基準が昨年拡大された肝細胞がん治療における肝移植の役割についてのシンポジウム、肝移植術後の疼痛管理とリハビリについてのワークショップなど、目新しいトピックを導入しています。

 脳死下での臓器移植件数は伸びていますが、ドナー不足はまだまだ深刻です。臓器提供の啓発や、心停止ドナーによる提供臓器の機能回復など、臓器確保の努力が全方向で行われています。

 iPS細胞による臓器作成も期待されるところです。ヒト肝臓作成の研究に取り組む、東京大学医科学研究所の谷口英樹教授に特別講演を依頼しました。

生体肝移植は特別な治療ではない

 島根医科大学(現:島根大学医学部)で日本初の生体肝移植が行われてから約30年。総肝移植数は今年、1万件を超える見込みです。生体肝移植は保険診療であり、特別な治療ではありません。かかりつけ医から患者さんに提案する一つの選択肢としてもらいたいと思っています。

 今回は、次の10年の方向性を決める重要な節目となります。肝移植医療に関わる多くの医療者に参加いただくことを願っています。

 開催地となる松山市は、じゃこ天や寿司などの食や道後温泉もあります。どうぞ楽しみにお越しください。

学術集会の主なプログラム(予定)

●特別講演「iPS細胞を用いたヒト肝臓の再構成」6月25日(木)
午後1時40分~同2時30分(予定) 谷口 英樹氏(東京大学医科学研究所教授)

●パネルディスカッション「臓器移植法改正後10年のあゆみと、これからの10年」

●シンポジウム「『肝移植の醍醐味』の伝承」

会期:6月25日(木)・26日(金) 会場:ANAクラウンプラザホテル松山
運営事務局:メッド jlts38@med-gakkai.org 
学術集会HP: https://ww2.med-gakkai.org/jlts38/

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