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第37回 中部日本手外科研究会挑戦、さらなる高みへ

第37回 中部日本手外科研究会挑戦、さらなる高みへ

 発展著しい手外科分野の最前線を紹介する「」。「第7回中部日本ハンドセラピィ研究会」も同時開催される。会長を務める島根大学医学部整形外科学教室の内尾祐司教授に、手外科治療のことや会長としての意気込みを聞いた。

今回のテーマに込めた思い

会長 
(島根大学医学部整形外科学教室教授)

 ハンドサージャリーと言われる手外科分野の発展には目覚ましいものがあります。手の外傷に関してもつなげる技術が進化し、切断でもつないで元通りになるケースが増えています。

 それを可能にしているのは、マイクロサージャリーや、より進化したウルトラマイクロサージャリーと呼ばれる手術です。1ミリもない血管の神経を縫うことができます。

 1965年に完全切断母指再接着を世界で初めて成功させたのは当時、奈良県立医科大学におられた玉井進先生です。やはり日本人は手先が器用なのか、その後も日本からさまざまな画期的な技術や施術が誕生しています。

 人工神経が登場したことで移植の必要性がなくなったり、手の指が伸びなくなってしまうデュピュイトラン拘縮も注射で治せたり、代謝性疾患や先天性の疾患にもスポットライトが当たって、道が開けたりしています。

 これらは全て諸先輩の挑戦や試行錯誤の末に生まれたもの。改めてその挑戦の志を思い出し、次世代につなげたい。そんな思いをテーマに込めました。

未来を担う若手に期待すること

 今回の学会では、特に若い方のモチベーションを上げたいという狙いがあります。新しい技術を生み出すには、クリエーティブな視点が必要です。これからを担う世代には、自分自身で問題意識を持って、新しいアイデアを生み出していただきたいと願っています。

 ヒントとなる事例はたくさんあります。例えば、リンパ浮腫治療に道を開いた広島大学の光嶋勲先生。リンパ管と静脈をつなぐ「リンパ管静脈吻合(ふんごう)術」で世界的に注目されました。直径わずか0.3ミリのリンパ管を扱います。

 また、岡山済生会総合病院の今谷潤也先生は高齢者の骨折治療に造詣の深い方です。普通、肘関節を骨折したらギプスを用いますが、ギプスより強固な固定材を世界に先駆けて開発されています。

 いずれの先生も共通しているのは、患者さんのQOL向上を徹底的に考えていること。特に手の機能は人間活動の根幹を成すものです。そこにわれわれがどう貢献できるのか、若手はもちろん、一人ひとりがしっかり考える機会になればと考えています。

日頃の課題克服の好機に

 「第7回中部日本ハンドセラピィ研究会」が同時開催されます。作業療法士や理学療法士などメディカルスタッフの方々に集まっていただいて、日頃困っていることや課題を討論する場を用意しています。手術や治療の話だけではなく、リハビリについても深い議論ができるものと期待しています。

 手外科は日常の諸作業に関連するのはもちろんですが、仕事の現場やスポーツの現場との関わりも深いのが特徴です。また、機能再建も守備範囲なので、悪性腫瘍を専門にされている方とも関わりがあります。日々、進化を遂げている分野ですので、ぜひこの機会に知識のアップデートをしていただきたいですね。

 今回、島根県出雲市で開催されるということで、ポスターには両手を光らせた大国主命(おおくにぬしのみこと)の銅像を登場させています。実は大国主命は日本初の治療者と言われています。因幡の白兎の神話によれば、痛みに打ち震えるウサギに大国主命が治療を授けるくだりがあるのです。そんな医療の神様ゆかりの地で、ぜひ手外科の今に触れていただきたいと思っています。

学会の主なプログラム(予定)

●特別講演1 整形外科医・手外科専門医が知っておきたい 「腕神経叢麻痺の病態と治療」
午前10時55分~同11時55分 土井 一輝 氏[小郡第一総合病院]

●特別講演2 四肢先天異常の治療戦略
午後1時40分~同2時40分 金谷 文則 氏[沖縄リハビリテーション福祉学院]

●特別講演3 マイクロサージャリーによる上肢再建
午後2時50分~同3時50分 砂川 融 氏[広島大学]

会期:2020年2月1日(土) 会場:ビッグハート出雲
運営事務局:日本旅行 コンベンショングループ内 jssh37chubu@wjcs.jp
学会HP:http://www.convention-w.jp/jssh37chubu/

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