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第35回日本老年精神医学会 地域を支える老年精神医学

第35回日本老年精神医学会 地域を支える老年精神医学

 地域において大きな課題となっている老年精神医学について考える「第35回 日本老年精神医学会」が6月13日(土)・14日(日)に米子コンベンションセンターで開かれる。鳥取県で初の開催、脳神経内科医が大会長を務めるのも26年ぶりという。大会長の浦上克哉・鳥取大学教授に今回のポイントを聞いた。

鳥取だから発信できること

 少子高齢化が進む中で、鳥取県は特にその進行が速い地域です。地域包括ケアで対応していくという方針が示されていますが、公的な保険がパンクしているから「自助と互助で頑張ってください」と言っているようにも映ります。もはや元気な高齢者が一人でも増えていかない限り、自助も互助も成り立ちません。そこで問題になるのが老年期の精神疾患。ここに効果的な手を打つことで地域を支えられるのでは、という思いから、テーマを「地域を支える老年精神医学」としました。

 早期診断によって重症化を防いだり、認知症を防いだりと、われわれにできることはたくさんあります。特に認知症予防に関して鳥取は先進地で、さまざまな成果を全国に発信しています。私たちは2004年から鳥取県琴浦町で、認知症予防の取り組みを継続して行ってきました。認知症を治すことは難しくても、認知症予備群を見つけて可逆的な状態の方にアプローチし結果を出すことは可能です。

 これまでは経験論でしか議論されてきませんでしたが、ようやく「とっとり方式認知症予防プログラム」という形にまとめることができましたので、この機会に発表させていただければと考えております。国も認知症の対策は「共生と予防」が柱と大綱を定めました。予防に力を入れてきた私たちだからこそ発信できることがあると信じています。

まずは、言葉の定義から

 学会は13日(土)からですが、今回は前日からさまざまな企画を用意しています。「市民公開講座」も12日(金)です。せっかくの機会ですから本学会の池田学理事長に認知症の話を、慶應義塾大学の三村將教授には高齢者うつの話をしていただく予定です。地域の皆さんとも話題を共有できたらと考えています。

 精神科医の方にも早期の鑑別診断を受け持っていただきたく、「精神科医のための神経所見の取り方講座」を開催する予定です。脳神経内科医と精神科医の中では暗黙のすみ分けが存在しますが、脳神経内科医がいない地域も多く存在します。医師を増やすことが先決ではありますが、当面の対策としては有効だと考えています。

 12日(金)の夕方には、専門医を対象にした「生涯教育講演会」も企画しています。認知症や高齢者の精神神経疾患に普段あまり触れていないと思われる公認心理師の方を育成できればと思っています。

見たことのない「絵」で魅せる

 今回〝オール鳥取〟という形で鳥取大学の兼子幸一教授と花島律子教授に、副大会長を務めていただきます。教育講演では兼子先生に高齢者の統合失調症について、花島先生には高齢者のパーキンソン病についてお話をいただく予定です。

 昨今、海外の高名な先生を学会に呼ぶのが難しくなってきていますが、前ソルボンヌ大学教授のハラルド・ハンペル氏をお招きすることができました。バイオマーカーや画像検査、検体を使った早期診断の開発など認知症全般に詳しく、最前線のお話が聞けると期待しています。

 山陰地方は交通の便が悪い地域です。そんな山陰で気軽に最新情報を得る機会は、そうありません。日本はもちろん、世界をリードするトップランナーが集まる貴重な会です。ぜひご参加いただき、地域の老年精神医学のレベルアップに役立てていただければと、願っています。

学会の主なプログラム(予定)

●シンポジウム「認知症の共生と予防」
6月13日(土) 午後3時30分〜同5時
粟田 主一氏(東京都健康長寿医療センター研究所)、
櫻井 孝氏(国立長寿医療研究センター)

●特別講演「疾患修飾薬開発とバイオマーカー研究の最新情報」
6月14日(日) 午前10時40分〜同11時30分  
ハラルド・ハンペル氏(前ソルボンヌ大学)

●「前頭側頭型認知症の最新情報」
6月14日(日) 午後2時45分〜同3時30分 池田 学氏(大阪大学)

会期:6月13日(土)・14日(日) 会場:米子コンベンションセンター
問い合わせ:ワールドプランニング jps.taikai@nqfm.ftbb.net
学会HP:http://184.73.219.23/rounen/D_gakkai_koenkai/35th/

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