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第30回日本がん転移学会学術集会・総会 Innovation through Collaboration:チームで取り組むがん転移

第30回日本がん転移学会学術集会・総会 Innovation through Collaboration:チームで取り組むがん転移

 がんの転移を制御することで治療成績の向上を目指す「日本がん転移学会」の学術集会・総会が7月、鳥取県米子市で開催される。30回の節目となる今回は、臨床や研究、複数の診療科による「チーム」で転移に立ち向かうことの重要性について議論する。

転移の克服が使命 チームで担う

 日本がん転移学会は、がんの転移に伴う死亡率の減少を目指し、1991年に「がん転移研究会」として発足しました。がんはがん細胞が原発巣にとどまっている状態であれば切除して完治しますが、転移してしまうとその全てを取り除くことは難しくなります。がんによる死亡原因の大半は転移によるものとされ、私たちは死に至る転移を克服することを使命としています。 
 使命を果たすには、基礎研究と臨床の連携はもちろん、治療でも外科や内科、緩和ケアなど複数の診療科の連携が欠かせません。基礎と臨床、治療もチームで取り組まなければならないという思いを、テーマの「チームで取り組むがん転移」に込めました。

最前線の診断方法、ゲノム医療も議論

 今回の目玉は、岡山大学教授の藤原俊義氏らによるテーマ名と同じ演題のシンポジウムと、米国にあるMDアンダーソンがんセンターの上野直人氏らの教育講演です。基礎と臨床のチームによるトランスレーショナル・リサーチの成果や、チーム医療の本質と課題について話してもらいます。基礎研究面では、鳥取大学教授の岡田太氏らが、転移のパターンの一つで血管内にがん細胞が入り込んで他の臓器に転移する「血行性転移」について取り上げます。大腸がんは肝臓に、乳がんや前立腺がんは骨に転移しやすいなど、がん細胞によって転移しやすい臓器が異なるといったメカニズム面の解明が進んでいます。臨床面では、診断で見逃されてしまっているような目に見えない微小転移について、正確な治療につなげるための新たな診断、予測方法を紹介する予定です。

 がんゲノム医療についても議論をします。患者さんのがんの遺伝子を解析して最適な治療を検討する「がん遺伝子パネル検査」が2019年に保険適用されて2年弱が経過しましたが、まだ実際の治療に結び付いている確率は低いと感じています。現状を踏まえて、治療に確実に結び付けるためには何が必要なのかを話し合えたらと思っています。

「転移を制すればがんを制する」実現目指す

 私は外科医ですが、7年間ほどはメスを握らず、米国に留学をして微小転移などの研究に没頭していました。臨床の世界では自分の頭で考え、調べて、新しいことを見つけるという経験はなかなか得られないことだと思うので、研究の経験のおかげで臨床医としての幅が広がったと確信しています。会長講演では私自身の経験を踏まえて、特に若い参加者に向けて臨床に役立つ研究をすることが大事だと伝えます。

 当学会の共通認識である「転移を制するものはがんを制する」を実現するために、臨床医や基礎研究者らがお互いに刺激し合って今後のがん転移医療に対するヒントを得たり、共同研究のきっかけにしたりする芽生えのある場になるよう準備を進めています。前回は新型コロナウイルスの感染拡大で現地での開催ができず、紙上開催という形になってしまいましたが、今回は現地とウェブ双方で行う予定で、感染防止対策のため広い会場にして距離を十分保てるようにします。盛夏の鳥取にぜひお越しください。

主なプログラム(予定)

●シンポジウム1「血管から転移を考える」
7月29日(木)午前9時~同11時 座長 岡田 太(鳥取大学)、樋田 京子(北海道大学)
●シンポジウム2「チームで取り組むがん転移」
7月29日(木)午後2時50分~同4時20分 座長 藤原 俊義(岡山大学)、掛地 吉弘(神戸大学)
●シンポジウム3「がんゲノム医療の現状と今後」
7月30日(金)午前9時~同11時 座長 田村 研治(島根大学)、横崎 宏(神戸大学)
●シンポジウム4「微小転移に対する新たな診断・治療」
7月30日(金)午後2時10分~同4時10分 座長 海野 倫明(東北大学)、竹内 裕也(浜松医科大学) ※敬称略

会期:7月29日(木)・30日(金) 会場:米子コンベンションセンター
運営事務局:キョードープラス メール:jamr2021@wjcs.jp
学会HP:https://www.kwcs.jp/jamr2021/

※情報は4月10日現在のものです。開催について最新の情報は学会HPでご確認ください。

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