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第27回日本HDF医学会学術集会・総会 ~災害からの復興を目指して~

第27回日本HDF医学会学術集会・総会 ~災害からの復興を目指して~

 血液透析の一つであるHDF(血液ろ過透析)に関する新たな知見を共有し、課題解決に向けた議論を行う学術集会・総会が10月、広島市内で開催される。大会長を務める広島大学病院腎臓内科教授の正木崇生氏に、「災害からの復興を目指して」とテーマを銘打った背景や、プログラムの内容について聞いた。

大会長 正木 崇生 氏

災害時の水の確保 透析の課題に向き合う

 広島県では2014年と18年の豪雨で、多くの人命が失われました。国内でも近年、阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震など大きな災害に見舞われています。現在はCOVID-19が災害レベルで猛威を振るっています。

 大規模な災害が発生した際、人工透析治療においてまず課題となるのは、水の確保です。1人当たり1回約500㍑にも及ぶ量を確保しなければならず、HDFの場合は通常の人工透析よりさらに多量の水が必要です。透析患者がCOVID-19に感染すると重症化しやすく、透析患者のベッドコントロールに苦心する医療機関が全国各地にあり、コロナ禍でも多くの課題を抱えています。

 こうした災害からの復興を目指し、透析の課題を解決するという思いをテーマに込めました。会長講演では、過去の災害時にどのように危機を乗り越えたのか、経験を踏まえた知見を紹介します。複数の自然災害での対応を経て医療機関同士の連携が緊密になってきたことや、水道局や自衛隊との連絡網を構築したこと、インフラが断絶した中で水を確保する方法などについて話せたらと考えています。

HDFの質向上目指し海外の専門家と意見交わす

 HDFに特化した議論も展開します。HDFは、2012年にオンラインHDFが保険適用されてから患者の増加が顕著です。日本透析医学会の調査によると、11年末に約1万4000人だったHDFの患者数は、19年末には約14万4000人に増えました。当学会は、HDFに関する診療の普及や研究の発展を目的に研究会として発足し、1995年に第1回研究会を開催しました。さらなるHDFの普及のために、「日本血液濾過透析医学会(日本HDF医学会)」と改称し、20年に改称後初の学術集会を開いて、新たなスタートを切りました。

 HDFを巡る主な課題は、ヘモダイアフィルターと呼ばれるろ過膜のサイズや性能、置換液の適切な量と希釈法に関することです。各医療機関でデータを蓄積している段階ですが、現状では最適な方法が定まっていません。この中でも特に、血液がヘモダイアフィルターを通過する前に置換液を注入する「前希釈」と通過後の「後希釈」で、どちら
に優位性があるのかというエビデンスはまだ十分に示されていません。国内においては前希釈が主流ですが、海外では主に後希釈が採用されています。そこで、フランスのモンペリエ大学教授のBernard Canaud氏ら海外の専門家にウェブ上の講演で前希釈、後希釈についての意見をもらい、出席者とも忌憚(きたん)ない議論ができたらと考えています。

ハイブリッド開催 活発な議論促す

 シンポジウムでは、当学会が主導して進めている、HDFで除去する物質の一つである「α1ミクログロブリン」の測定などについても取り上げ、現状を報告します。

 現地とウェブ上でのハイブリッド形式での開催を予定しています。当学会では熱心に勉強されている先生方が大勢いて、毎回ディスカッションでも質問数が多く、活発な議論がなされていると感じています。透析医療の進歩をけん引し、成果を国内外に発信するという使命を果たすため、さらに活発な議論を促し、参加者の知識をより深められる機会にできればというのが私の一番の思いです。


主なプログラム(予定)※敬称略

シンポジウム
●「α1ミクログロブリン」
10月23日(土)午前9時~同11時
●「日本人にあった至適透析濾過量は?前希釈に限定」
10月23日(土)午後1時30分~同3時30分
●「HDF後希釈のメリットについて」
10月23日(土)午後3時30分~同5時30分
●「COVID-19の対応」 10月24日(日)午前9時~同11時

スイーツセミナー 10月23日(土)午後2時50分~同3時50分
●「リン管理 ~鉄基盤リン吸着剤の意義~」
●「鉄、エリスロポイエチン、HIF-PH阻害薬」

ランチョンセミナー
●「多疾患併存高齢CKD患者における腎性貧血治療」
10月23日(土)午後0時15分~同1時15分
●「病態に応じたオンラインHDF治療戦略」
10月23日(土)午後0時15分~同1時15分
●「透析患者のカリウム管理を再考する」
10月23日(土)午後0時15分~同1時15分
●「HDF療法における今後の展望」 10月24日(日)正午~午後1時

イブニングセミナー 10月23日(土)午後6時~同7時
●「透析患者のミネラル管理と透析液」
●「高齢透析患者に適したHDF療法を考える」


会期:10月23日(土)・24日(日) 会場:広島コンベンションホール
運営事務局:コンベンションリンケージ メール:27hdf@c-linkage.co.jp
学会HP:https://www.c-linkage.co.jp/27hdf/

※情報は9月10日現在のものです。開催について最新の情報は学会HPでご確認ください。

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