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第21回日本骨粗鬆症学会 多職種で骨卒中を防ぐ

第21回日本骨粗鬆症学会 多職種で骨卒中を防ぐ

鳥取大学医学部保健学科 教授 会長 萩野 浩 氏(はぎの・ひろし)
1982年鳥取大学医学部医学専門課程卒業、
1988年同大学院医学研究科博士課程修了。
米クレイトン大学骨粗鬆症センター留学、
鳥取大学医学部整形外科講師などを経て2008年から現職。

 10月11日(金)~13日(日)、神戸で開催される「第21回日本骨粗鬆症学会」。テーマは「多職種で骨卒中を防ぐ」。医師のみならず看護師、理学療法士らが、骨折予防に対する最新の知見を発表する。会長を務める鳥取大学医学部保健学科の萩野浩教授に、テーマに込めた思い、学会の見どころなどを聞いた。

「骨卒中」に焦点を当てる

 「骨卒中」という言葉はこれから定着させたい造語です。継続的に使っていき、広めたいと考えています。この造語は、「骨折」という言葉では危機感を持っていただけない現状に対して、一つの解決策として考え出されました。

 高齢者の方々が増えてきて、介護が必要な主な疾患は、脳卒中や運動器の疾患です。中でも骨折は、日常生活に支障をきたすことから大きな問題となっています。当然、予防をしなければならないのですが、多くの人がなかなか積極的にならない。予防の取り組みを始めても、すぐにやめてしまう。それはなぜかと言うと、理由の一つは骨折を軽視しているからでしょう。

 よく「骨折程度で済んでよかった」といった言葉を耳にしますが、若い頃のものと高齢者に襲いかかるものとは、まったくの別もの。骨折後、寝たきりになる可能性があり、生命予後にも影響することがあります。そこで高齢者の背骨や股の骨折については、名前を変えようということになり、「骨卒中」という言葉が考案されました。

骨粗鬆症リエゾンサービスから最新の治療まで

 日本骨粗鬆症学会による「骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)」について充実した内容をそろえています。シンポジウムでは、リエゾンサービスの実際の成績を発表。その後、自由に意見を交換する「リエゾンサービスサロン」を企画しており、私自身、非常に楽しみにしています。

 初めての試みとして挙げられるのが、「マネジャースキルアップセミナー」です。これは実際に20~30人のグループで取り組まれている方を講師に招いて、現場のノウハウや知識を双方向的に学ぶことができる講座です。マネジャーになったはいいものの壁にぶつかっている、そんな方にぜひ受講していただきたいですね。

 次に注目したいのが、最新の骨粗鬆症の治療。特に、骨形成促進剤といった薬剤も、最近たくさん出てきています。これら最新情報の報告をはじめ、日本に3台しかない最新の骨密度測定機「HR―pQCT」についてのシンポジウム、骨粗鬆症による痛みについてのシンポジウムなどを企画しています。

 その他、栄養面や「サルコペニアと骨粗鬆症」といったテーマもあり、まさに「骨粗鬆症の今」が分かる学会になるのではないかと自負しています。

 特別講演でお招きする富山市民病院の澤口毅先生には、多職種で取り組んでいる先進事例をお話しいただきます。手術からリハビリ、次の予防に至るまで独自のプログラムを作っておられ、まさに今回のテーマの一つの実践のかたちだと思います。

骨粗鬆症治療の現状と課題

 「骨粗鬆症リエゾンサービス」の開始によって現場の理解は深まりました。実際にそれぞれの職種や所属によって、1次、2次骨折予防と、さまざまな取り組みが進んでいます。1次では、放射線技師ならばCTによる骨折の画像を治療や予防に生かす、栄養士ならば栄養面からの改善につなげる。「目からうろこ」と感じる取り組みが、より共有されることでしょう。

 一方で、2次骨折予防は病院側の収益につながらず、積極的に踏み出せない面があります。これについては、学会でも保険診療点数化のための調査や研究に取り組んでいるところです。

 今回の学会は、骨粗鬆症に関わっている方以外にも、ぜひ来ていただきたい。基礎的な内容もプログラムに含めていますので、「骨卒中」という言葉や取り組みを、現場に持ち帰っていただきたいと思います。

学会の主なプログラム(予定)

●特別講演(演題未定) 澤口 毅氏[富山市民病院副院長]
中村 利孝氏[産業医科大学名誉教授]ほか3題

●合同シンポジウム 日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、日本整形外科学会
「高齢者脆弱性骨折の実状と治療:骨折ゼロへの取り組み」
10月12日(土)午後4時30分~同6時

●シンポジウム 「OLSのアウトカムとスキルアップ」
10月11日(金)午後1時30分~同3時

●マネジャースキルアップセミナー 10月11日(金)午前中2回 ※事前申込制

会期:10月11日(金)~13日(日) 会場:神戸国際会議場・神戸国際展示場
運営事務局:日本コンベンションサービス株式会社 ☎078-303-1101
学会HP:https://site2.convention.co.jp/21jos/

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