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第5波でブレークスルー感染 クラスターを新たな教訓に

第5波でブレークスルー感染 クラスターを新たな教訓に


医療法人社団喜生会 新富士病院
木島 金夫 院長(きじま・かねお)
1986年獨協医科大学医学部卒業。同大学病院第一外科、
北海道・森町国民健康保険病院などを経て、
2011年新富士病院入職、2017年から現職。

 206床の療養型病院として高齢者医療を中心に取り組む新富士病院。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、ワクチン接種済みの職員や患者のブレークスルー感染によりクラスター(感染者集団)が発生した。


―第5波の際、院内でブレークスルー感染がありました。

 2021年8月14日、A2(本館2階)病棟で熱発した患者さん2人と職員1人の感染が判明。A2病棟の全入院患者・職員を検査したところ、計6人が感染していました。最終的には28日までに職員7人、患者6人、計13人のクラスターとなりました。

 すぐに県の感染対策チームから指導を受けましたが、その指導よりも広範囲に対策を施すようにしました。例えば、クラスターがあったA2病棟の職員のロッカーを別の場所に移して更衣室を隔離。他の病棟の職員と一切接しないようにし、他病棟からの応援も行わないことを決めました。


―経験して感じたことは。

 もともと、A2病棟の看護・介護職は計31人。50人弱が入院する現場を回すために、命を守ることを最優先にし、少ない人数で対応できる範囲に業務を縮小。職員はホテルに宿泊させ、各家庭での感染を広げないよう徹底しました。

 さらに、毎週火曜と金曜には当該病棟の全患者・職員のPCR検査を実施。2週間連続で陰性が確認されたのを機に、9月18日にようやく隔離を解除しました。

 職員の疲弊は大きかったと思います。そこで以降2週間は、A2病棟への新規入院を休止しました。職員は「すぐに受けます」と言ってくれましたが、しばらくは心身を休めてほしいと配慮しました。

 感染者が出た病棟が機能できない間、A3(一般)病棟では、通常よりも多い緊急入院を一手に引き受けました。非常に無理な状況でしたが、想像以上のチームワークで乗り切ってくれました。

 当該病棟では、涙ぐんでいる職員もいた中で、看護部長がこまめに声を掛け、他の病棟の者がホワイトボードに激励の言葉を書いて見せたこともあったそうです。病院全体でまとまりが生まれたことが、大きな収穫になりました。

 痛感したのは、防護服の着脱や手指の消毒など、基本を徹底すること。感染管理認定看護師や看護部長が、正しく着ているか、後始末できているかを、改めて指導しました。鏡に全身を映してチェックする、他の病棟でも抜き打ちテストするなど、徹底を図りました。


―コロナ禍で果たしてきた役割は。

 今回のことで、改めて地域医療の安定には「地域で一つの大きな病院を運営する」意識が必要ということを感じました。例えば、富士市東部地区の救急医療体制は決して十分とは言えません。基幹病院である富士市立中央病院にコロナ専用病棟を設けることになった際には、この地区の救急が崩壊しないよう、われわれもできる限りの支援に乗り出しました。

 高齢者中心にはなりますが、後方支援として治療途中の患者さんも積極的に受け入れ、病院間で「こういう情報交換をしませんか」と提案。当院の医師にも、「ためらわず積極的にやり取りをしていこう」と働き掛けるようにしました。

 振り返ると、近年療養型から一般医療へ機能を拡大してきたことで、職員に緊張感が養われていたことが、緊急事態への対処において非常に役立ちました。大変な経験ではありましたが、職員全体の実力は確実に上がったと感じています。

 また、週に400回実施したワクチン接種会場を設けるなど、コロナ禍においてこの地域で必要とされる病院の仲間入りができたように感じています。「あの病院がないと困る」と言われるよう、今後も取り組んでいきたいと思います。

医療法人社団喜生会 新富士病院
静岡県富士市大渕大峯3898-1
☎0545-36-2211(代表)
https://www.shinfuji.or.jp/

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