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笑顔、夢、誇りを持つ

笑顔、夢、誇りを持つ


病院長(かわまた・まきと)

1986年京都府立医科大学医学部卒業。
米イエール大学医学部麻酔科、札幌医科大学附属病院、
信州大学医学部附属病院副院長などを経て、2020年から現職。
同大学理事、同大学副学長兼任。

 徳島生まれ、兵庫育ち。学生時代は、京都で山岳部一筋。さらには北海道に渡って麻酔科医に。ようやく長野に落ち着いて十数年がたった。「ここが、ついのすみかです」と語る病院長が描く、組織の未来像とは。

イノベーションを生み出し、発信する

 院長補佐と副院長、合わせて9年にわたるキャリアを持ち、院長に就任した川真田樹人氏。トップに立つことに、気負いはない。「私の役目は、これまでの事業を継続しながら、また新しい方向性を定め、次にバトンを渡すことです」

 大学病院としての新たなイノベーションを生み出し、発信していきたいと語る。「遺伝性疾患の診療・研究は強みの一つ。遺伝子医療研究センターは、丁寧な遺伝カウンセリングと最先端の解析を駆使した包括的支援を得意としています。CAR―T細胞療法の実現化も進めたい」

 長野県には中小規模の医療機器メーカーが多く、産学共同での研究開発も進む。信州大学発のベンチャー企業も意欲的だ。「バイオメディカル研究の一つであるナノカーボンの医療応用研究、リハビリや生活支援をサポートするロボティックウエアの開発など、企業とタイアップして積極的に取り組んでいきます」

「笑顔、夢、誇り」を

 国立大学病院の経営は厳しさを増している。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大で、どこの病院も外来患者が減り、収益が減少。しかも、信州大学医学部附属病院では、2021年から改修工事を予定している。「大きな企業に匹敵する約2500人の職員を抱え、事業を継続していくためには、急性期医療機能は拡張しつつも、全体的にはダウンサイジングが必要だと感じています」

 ただし、収益を語るだけでは職員の活力がなくなり、魅力ある病院から遠のいてしまう。その感覚は、経営担当副院長時代に、肌で感じていた。日々の業務に追われるだけでは、職員たちも疲弊してしまう。

 そこで就任の際、3本柱として掲げたのが、「笑顔、夢、誇り」。地域に貢献できていることを信じて、もっと笑おう、誇りを持とう。前向きに、一緒に夢を語ろう、というメッセージを打ち出した。

夢を描き、前に進む

 まず取り組んだのが、59ある各部門に、10年後の夢を描いてもらうこと。実現するために、この1年、何に取り組むべきなのか、意見を集約している最中だ。

 「組織が大きすぎると、他の部署が何を考えているのか分からなくなります。そこで相互理解を深めるために、実現したい形をオープンにする。その結果、リスペクトし合える関係性を築けたらと考えています」

 重視するのは情報公開。部門のトップが集まる診療科長会だけでは難しいと判断し、互いの委員会を行き来して実情を知る機会を設けた。2人だった副院長は、4人体制に変更。診療科を越えて情報が広がりやすくなったという。

 センター長に任せていた院外会議には、副院長を含めみんなで出ていこうと声を掛け、執行部に入る教授の人数も増やした。関わり合うことで得られるメリットを探る。

 「人口減少や高齢化などの問題を抱え、決して明るいとは言えない未来ですが、悲観するよりも元気を出してやっていきたい」と笑う川真田病院長。ベースにあるのは「なるようになる」という人生観だ。

 楽しみは、落語にどっぷり浸る時間。「江戸時代から続く落語にはいろんなヒントがあり、応用できることがあります。就任直後から新型コロナウイルス感染症の対応で大変ですが、また寄席に行ける日を待ちわびながら、乗り越えていきたいと思います」

信州大学医学部附属病院
長野県松本市旭3-1-1 ☎️0263-35-4600(代表)
http://wwwhp.md.shinshu-u.ac.jp/

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