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積極的に情報発信 地域のために奔走

積極的に情報発信  地域のために奔走


病院長(すぎた・ひろき)

1988年熊本大学医学部卒業。米マサチューセッツ総合病院、米ハーバード大学、
熊本市民病院、熊本地域医療センター副院長などを経て、2020年から現職。

 医師会立病院として1981年に設立された熊本地域医療センター。4月、新型コロナウイルスによる院内感染が発覚した。就任直後の院長は、この危機にどう対処したのか。その言葉に耳を傾ける。

就任直後に急転直下 新型コロナ院内感染

 「熊本地域に貢献し、なくてはならない病院だと思っていただけるようにしたいと考えています」。2012年から所属する熊本地域医療センターの病院長に、4月、就任した。

 しかし、早々に大きな難題に直面した。任に就いて半月余の4月18日、休日夜間急患センターに勤務する職員の新型コロナウイルス感染が判明。外来・入院とも即日受け入れを休止した。

 接触者をリストアップしてPCR検査を行ったところ、翌19日に2例目の感染が発覚。その後も24日に1〜2例目の2人と直接的な接触のない職員の感染がわかった。「試行錯誤しながら、かなり難しい対応を迫られたのが実情です」と明かす。

 一時は収束に向かい、段階的な診療再開の途上にあったが、5月8日、別の職員の感染が確認され、再び新規受け入れの休止を余儀なくされた。ようやく全面復旧したのは6月1日。「不慣れな状況下で対策に追われましたが、何とか乗り切ったというところです」と息をつく。

 経路をたどると、もともとは、休日夜間急患センターの外来患者から感染が広がったことが推測できた。ゲノム解析で4人の型に類似性が認められることもわかった。「いったん院内に入り込むと、想像以上に拡大する。初期段階で想定していたよりも、感染力がかなり強い印象です」と振り返る。

風評被害の払拭へ積極的に情報を発信

 ただ、対策が終わったわけではない。再発防止のため、院内の消毒回数を増やしたり、拭き上げを導入したりと、院内感染防止は警戒度を高めて実施。風評被害の払拭(ふっしょく)や職員の心のケア、そして深刻なダメージを受けた経営の立て直しも急ぐ。

 そのために、まず取り組んでいるのが積極的な情報発信だ。

 「患者さんや地域からの信頼を再び得るためには、『隠している』と思われないことが大切です」。病院ウェブサイト内に新型コロナウイルス感染症関連情報のコーナーを特設し、情報を逐次更新。院内感染が落ち着いた6月以降は、県内新聞社の取材を受け、テレビにも出演してきた。

 「自分たちがオープンに情報を発信することで、地域の方やマスコミにも実情を知っていただける。応援してくださる方の声も届き、情報発信の意味を実感しています」

「人の役に立つ」使命感 非常事態でも原動力に

 着任から半年。「さまざまな対策を打っているうちに、あっという間に過ぎました」と笑う。タフに仕事に取り組む背景にあるのは、「人の役に立ちたい」という使命感。医師を志したのも、その思いがきっかけだ。

 熊本大学医学部を卒業後は「ハッキリとした結果がすぐに出る」と外科を選び、特に肝胆膵に興味を引かれて消化器外科の道を歩んできた。熊本地域医療センターには8年前に外科部長として赴任し、以降は外科系診療部長と副院長を経て現在に至る。

 これから、院内感染によるダメージを回復させるとともに、老朽化している本館施設の新築計画も再開させる必要がある。待ったなしの決断を矢継ぎ早に迫られる日々。「市民の方々にどのような形でお役に立てるか。地域の患者さんの声に耳を傾けながら、役割を果たしていきたいと思っています」

一般社団法人熊本市医師会 熊本地域医療センター
熊本市中央区本荘5ー16ー10 ☎️096ー363ー3311(代表)
https://www.krmc2.org/

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