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積極的にタスクシフト 全職種の視点 大切に

積極的にタスクシフト 全職種の視点 大切に

 独立行政法人 国立病院機構 福山医療センター
稲垣 優 院長(いながき・まさる)
1985 年岡山大学医学部卒業。同大学医学部第一外科
(現:・腫瘍外科)入局、米ネブラスカ州立大学医療センター留学、
国立病院機構福山医療センター診療部長、同統括診療部長などを経て、2019 年から現職。

 院長就任前から、医師の働き方改革を先導してきた稲垣優氏。具体策と見えている成果を聞いた。

―近年の大きな取り組みは。

 PFM(PatientFlow Management)の導入です。当院では2017年、「PASPORT(患者入院支援・周術期管理チーム)」という名称でスタート。まずはプロジェクトの責任者でもあった私の科である肝胆膵(すい)外科から開始し、現在はほぼ全科で導入しています。

 医師の働き方改革における利点は、医師の患者管理業務の軽減。それまで全て医師主導だった服薬管理や栄養指導、リハビリなどは、医師がPASPORTに依頼することさえ決めれば、あとはさまざまな職種が関与し、患者の状態や既往に応じて必要な介入をしてくれるようになりました。

 医師も人間で、ミスもある。過去には、多忙で手配漏れが起き、手術や検査の延期といった問題が生じたこともありました。私自身、PASPORTの存在によって大きな安心感と業務負担軽減を実感しています。

 PASPORT部門の中心は看護師で、現在11人。その他の職種はローテーションで関与します。多職種が関わることでインシデントもゼロになり、医療安全の面も向上。入院時支援加算の算定も可能になったことで、病院の収益増にもつながっています。

 今後の目標は、診療内容など対象とする範囲の拡大と、効率化を図ること。現在は、各診療科でPASPORTの介入が必要な人とそうでない人を判別していますが、入院が決まった段階で、必要性の有無を自動に近い状態で振り分けできる仕組みをつくっていきたいと思っています。


―医師事務作業補助者の導入も早かったそうですね。

 2008年、診療報酬改定で医師事務作業補助体制加算が設けられたのをきっかけに雇用を開始。ドクターアシスタント(DA)という名で呼び、それまで医師が行ってきた各種検査オーダーやクリティカルパスの入力、診療情報提供書の作成や診断書の作成などを代行する仕組みを整えました。

 背景にあったのが、医師の超過勤務の長さと、診療以外の作業の遅れ。退院時サマリーなどの作成も、診療に押されて先延ばしになる傾向がありました。

 現在のDA は31人。全診療科で導入しています。特に超過勤務の長さが顕著だった整形外科では、患者数が2倍ほどに増加しているにもかかわらず、平均超過勤務時間が導入前75%ほどに。DA 雇用開始当初は20%だった「退院後2週間以内の退院時サマリー完成率」も、現在は診療録管理体制加算1の基準(9割 以上)を超えています。

 医師の勤務時間を短縮できるという大きな狙いを実現できるだけでなく、収益という点でも、DA導入のメリットは大きかったと考えています。


―その他の取り組みは。

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、20年から、平日の勤務時間外と土日祝日の患者説明を原則禁止。また対応可能な診療科で、週末の勤務を主治医制から当番制に変更しました。

 さらに21年4月には、特定行為研修機関として、術中麻酔管理領域の研修を開始。スペシャリストを養成した上で、麻酔科医の業務の一部を移行し、負担軽減を図る狙いです。

 自院での研修のメリットは、該当看護師が休職する必要がないこと。他施設での研修だと半年近く施設外研修を受けることになりますが、自院であれば勤務を続けながら研修ができ、病院側としても複数人の同時受講が受容できます。現在は1人が研修中。将来は外科術後管理領域への拡大も目指しています。

 今、医師の働き方改革が注目されていますが、本当の意味でのゴールは、全職種の業務の均てん化。その視点を忘れてはならないと思っています。

独立行政法人国立病院機構 福山医療センター
広島県福山市沖野上町4ー14ー17
☎084―922―0001(代表)
https://fukuyama.hosp.go.jp/

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