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積極的な院外診療で精神科医療を〝見える化〟

積極的な院外診療で精神科医療を〝見える化〟


院長(まつなが・たかまさ)

2003年久留米大学医学部卒業、同神経精神医学講座入局。
松岡病院、大島病院、久留米大学病院精神神経科病棟指導医などを経て、
2012年早津江病院入職。2018年から現職。

 2021年5月に開院65周年を迎える特定医療法人樟風会早津江病院。松永高政院長に、これまで地域の精神科医療に尽力してきた歩みを振り返りつつ、今後の方向性を聞いた。

―精神科医療の分野で地域に貢献されてきました。

 鍋島藩が幕末期に開設した造船所「三重津海軍所」跡地に、1956年に精神科・神経科の病院として「早津江保養院」の名称で開院したのが始まりです。

 1988年に現在の病院名に改称し、1993年に現在地へ新築移転しました。私が院長に就任した2018年に、標榜科を「心療内科・精神科」に変更し、現在に至っています。

 当院は開院当初から一貫して、地域住民の悩みや相談に真摯に耳を傾け、地域医療の貢献に全力を尽くしてきました。この診療姿勢があればこそ、地域の人々から〝頼りになる心のかかりつけ医〟として、長年にわたり評価いただくことができたのだと思っています。

 今後も住民に寄り添う医療に大切に、精神科医療を取り巻く環境の変化や課題などにも適切に対応し、地域の期待に応えていきたいと思います。

―精神科医療を取り巻く現状と課題は。

 厚労省は、精神科医療の目指す方向性として〝入院医療中心から地域生活中心へ〟を提唱し、「急性期治療の充実」と「地域移行の促進」を重点項目として示しています。

 前者は、重度の急性病態にある患者さんの病状を一定期間内で改善し、地域社会に復帰させること。後者は、心の疾患がある人も安心して暮らせる地域社会を包括的に整備し、長期入院患者さんの地域生活移行を推進すること。当院では、これらの方向性に対応した診療を、スタッフ一丸となって進めています。

 急性期治療では、手厚い看護のもと、適切な治療を集中的に施し、患者さんの早期退院に努め、在宅ケアを含めた社会への復帰に力を注いでいます。

 地域移行では、入院患者さんが退院後、地域で暮らすために必要な訓練や支援などを行う「地域移行機能強化病棟」を開設しています。計画的な病床縮小により、医療スタッフを急性期治療に増員できるメリットも生まれています。

 2017年には、訪問看護ステーション「くすの風」をオープンしました。退院後の患者さんのケア強化に貢献しつつ、在宅精神科医療の拡充にも取り組んでいます。地域で暮らす患者さんやご家族を、訪問看護師が訪ねる在宅ケアは、病院と地域の相互理解を促進し、関連業種との連携が取りやすくなる効果も出ています。 

―今後の方向性は。

 現在、佐賀県教職員会の依頼を受け、学校教職員の健康相談のほか、佐賀市高齢福祉課の認知症初期集中支援チームに参加するなど、行政と連携した診療も行っています。

 精神科医療はいま、在宅精神科医療がスタートしたように、診療が院内で止まってはいけない時代を目の前にしている、と考えています。企業も、精神科医に社員のストレスチェックなどを依頼するケースが増えてきています。精神科医は外へ出ることをためらうべきではありません。

 積極的に院外での診療に取り組むことにより、精神科医療の〝見える化〟が進み、理解も深まって、これまで以上に精神科病院の扉をノックしやすくなる、とも予想しています。

 どんな病気も早期発見、早期治療が重要です。心の疾患に悩む患者さんやご家族の方々が、気軽に精神科を訪ねていただけるようになれば、悩みを小さなうちに解決できるチャンスが、想像以上に増えていくのではないでしょうか。院外での診療拡大の先頭に立つとともに、急性期治療をさらに拡充し、そのための専用病棟を確立することを目指していきたいと思います。

特定医療法人樟風会 早津江病院
佐賀市川副町福富827
☎0952―45―1331(代表)
https://shoufuukai.or.jp/

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