九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

福井大学医学部附属病院 病院長 腰地 孝昭

福井大学医学部附属病院 病院長  腰地  孝昭

 あけましておめでとうございます。2020年は新型コロナ感染症が世界中にまん延し、その対策に明け暮れる大変な1年でした。東京オリンピックも延期となり、世界中で多くの人々がこの100年に1度の大禍で生命の危機にさらされています。私自身も医療者の1人として、また病院の管理者としてコロナ医療の対応に苦慮しながら、あっという間の1年でした。

 さて、この稿を書いている2020年12月半ばは、毎日どこかの都道府県で新型コロナの新規感染者数が最大数となり、病院機能の逼迫(ひっぱく)と医療崩壊の危機が叫ばれています。しかし福井県の第3波は今のところ散発的な発生にとどまり、大きなクラスターを発生することなく第1波に比べるとコントロールされた状態です。お叱りを受けるかも知れませんが、たまには人口の少ない地方にも良いことがあるものです。

 ところで、私は国立大学病院の病院長をしながら福井県医師会の副会長も務めていますが、双方の執行部に同時に関わる例は国内でも希有なようです。実はこのことが福井県の新型コロナ対策構築に大いに役立ったのです。

 新型コロナ前夜における医療体制の議論は、地域医療構想、医師確保偏在対策、働き方改革などいわゆる厚労省の三位一体改革が話題の中心でした。しかし、各病院の意地や損得に関わる生々しい議論はなかなか進まず、みな腕組み状態でした。ところが新型コロナという正体の見えない共通の敵に対峙(たいじ)し苦難に直面すると、直ちに感染症指定病院でない大学病院がまとまった患者の受け入れを表明したことで一気に雰囲気が変わり、行政、医師会、県内病院長会議が有機的に機能し始めました。これもこの事態を見越したかのような福井県医師会長の見事な先見の明、あるいは計略のおかげかもしれません。

 最後に、コロナ対策と経済対策どちらを優先すべきか、最近では国のリーダーと国民の考えに乖離(かいり)が起こりつつあることは否定できません。私は趣味で囲碁を楽しむのですが、囲碁では経済対策(黒)とコロナ対策(白)を一手一手交互に打つのがルールです。重要なことは大局観を持つこと、急所を見逃さず、本手(自陣の構えの要所)を省かないことです。

 この国の指導者が戦略と目的を国民に分かりやすく説明し、自信を持って国難の解決に当たり、その結果として当たり前の日常に一日も早く戻れること、国の威信をかけた東京オリンピックなどが開催されることを切に願っています。

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