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神経学的診察を大切に教育、研究にも注力

神経学的診察を大切に教育、研究にも注力

獨協医科大学内科学(神経)
教授(すずき・けいすけ)

2001年獨協医科大学医学部卒業。
英インペリアルカレッジロンドン留学、獨協医科大学内科学(神経)准教授などを経て、
2020年から現職。

 超高齢社会を背景に、役割が増す脳神経内科医。獨協生まれ、獨協育ちの新たな教授が描く、獨協医科大学内科学(神経)教室の展望は。

データに偏らず神経所見で精査

 「獨協医科大学とは深いつながりがあります」と語る。獨協医科大学病院で生まれた。幼いころ、父が獨協医科大学病院に勤務しており、医局に連れていってもらった記憶もある。5歳で虫垂炎の手術を同院で受け、当時の主治医の姿を見て「医師になりたい」と憧れた。獨協中学・高校を経て、獨協医科大学に進んだ。

 脳神経内科を選んだのは、打腱器での腱反射検査などに代表される「神経診察」に引かれたから。「人だからこそできる古典的な手技で原因を精査していく点に、魅力を感じました」

 打腱器での腱反射検査は、患者の肘(上腕二頭筋腱)や膝関節(膝蓋腱)の腱をたたき、跳ね返りが左右対称か、強弱の度合いはどうかといった点から、脳、脊髄、末梢神経などの異常の有無を診る。

 「画像検査で見つかった異変が、疾患の本当の原因でない場合もあります。機器による検査に偏ることなく、神経診察に基づいて検査を行い、その結果の解釈が適切にできる脳神経内科医を養成したい」と語る。

コモンディジーズから希少性疾患まで

 臨床教育の特徴の一つは、教室員を三つのグループに分けていること。グループ内のメンバーの専門分野はさまざま。グループ長を、専門医資格取得から10年ほどが経過した中堅医師が務め、編成は、半年ごとに変更する。

 グループを専門別にしていない理由の一つは、脳神経内科が診療する幅広い疾患について、全教室員に一定レベル以上の知識を身につけてもらうため。脳卒中、認知症、てんかんなどのコモンディジーズから、末梢・中枢神経系免疫介在性疾患、遺伝性代謝性疾患や変性疾患を含む希少性疾患まで、脳神経内科が扱うあらゆる疾患について、先輩が後輩に教える形で、指導する。

 他にも狙いがある。「指導者によって経験や歩んできた道が異なります。コミュニケーション、キャリアの捉え方などにも違いが出る。複数の先輩の指導を受けることで、若手の知識や技量、人間性にも、幅と深みが出ると考えています」

 指導する側にもメリットがあると言う。「若手にわかりやすく指導するためには、学び直しや自己研鑽(さん)が不可欠です。多くの若手に関わると、一人ひとりの着眼点が異なり、質問されることも多岐にわたる。当然、それぞれの事柄を、より深く理解しておくことが必要になります」。教育力の充実が、教室の臨床面、研究面のレベルアップに直結すると、信じている。

睡眠と神経疾患の関連性を追究

 「この教室が、伝統的に強みとしてきた『睡眠』の領域を中心に、脳神経疾患の研究に力を入れたい」と今後の展望を語る。

 自身も、パーキンソン病や片頭痛などの神経疾患と睡眠の関連に着目し、長年、研究を続けてきた。「これまでの研究で、良い睡眠が、覚醒中に脳に蓄積する異常タンパクなどの除去に役立つことがわかってきました。睡眠障害が、アミロイドβなどの異常タンパクの蓄積を促進させ、神経変性疾患の発症に関わる可能性があるとして、注目しています」

 レム睡眠中に、夢に合わせてはっきりとした言葉を話したり行動をとったりする「レム睡眠行動障害」の患者では、高い確率でパーキンソン病やレビー小体型認知症へと進展することが注目されている。「臨床研究を続け、予防法や治療法も見極めていきたい」

獨協医科大学内科学(神経)
栃木県下都賀郡壬生町北小林880 ☎0282-86-1111(代表)
http://www2.dokkyomed.ac.jp/dep-m/neuro/

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