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神戸大学大学院医学研究科 腎泌尿器科学分野 国産初の手術支援ロボット 1例目の手術を実施

神戸大学大学院医学研究科 腎泌尿器科学分野 国産初の手術支援ロボット 1例目の手術を実施

教授(ふじさわ・まさと)
1984年神戸大学医学部卒業。
米The Population Council, Center for Biomedical Research、
神戸大学大学院器官治療医学講座腎泌尿器科学分野講師、川崎医科大学泌尿器科教授などを経て、
2005年から現職。

 神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野では、手術支援ロボットの有用性に早くから注目し、神戸発の医療機器・技術開発に積極的に取り組む。藤澤正人教授に概要を聞いた。

─講座の特徴は。

 腫瘍や感染症、排尿障害、腎不全、内分泌など、泌尿生殖系に関する全ての疾患を扱っています。小児泌尿器科疾患については、兵庫県立こども病院と連携し、それ以外は大学で診断・治療を行っています。腎不全に対する腎移植は腎臓内科と連携して年間30~40件実施しています。

 泌尿器科が扱う腫瘍の中で最も多い前立腺がんの手術では、2010年に手術支援ロボット「ダビンチ」を導入。保険診療になる前からロボット支援手術に積極的に取り組んでいます。

 ロボットを用いた腎部分切除術は、当教室が中心になって臨床研究を行い、16年に保険診療として厚生労働省に承認されました。その後、膀胱(ぼうこう)がんや腎盂(じんう)形成術なども保険適用となっています。

 いずれ泌尿器科領域の大きな手術は全てロボット支援手術に代わっていくと確信しています。患者さんにとって、非常に低侵襲、かつ質の高い手術ができるので、今後も推進していきます。

─先進医療と「hinotori」開発について。

 17年、がんの最先端治療や研究開発を行うために、「国際がん医療・研究センター」を開院しました。ここには泌尿器科の病床が10床程度あり、前立腺がんに対する狙い撃ち生検による診断やスペーサー留置による低侵襲・高精密放射線治療、膀胱がんの診断用蛍光薬剤アラグリオを使った診断などを行っています。

 国際がん医療・研究センターには、国産初の手術支援ロボット「hinotori」を導入し、20年12月に前立腺がんの1例目の手術を行いました。「hinotori」は川崎重工業とシスメックスが共同出資して設立したメディカロイド社と神戸大学が連携・協力して開発したものです。工業用ロボットと手術用ロボットにはコンセプトに大きな違いがあり、重要視するポイントも異なるため、試作品に対する議論を数年間重ねてきました。

 手術が問題なくできると判断して国に申請し、20年8月に製造販売承認を得ました。今後も機器本体のさらなる改良のほか、遠隔指導や遠隔手術といった機能の開発など、性能の向上に努めなければなりません。遠隔による手術や指導は、通信やセキュリティーの問題で実用化はまだまだ難しい段階ですが、将来を見据えた5G利用実証実験施設「テレサージェリー(遠隔手術)センター」を設けています。日本での普及が第一歩ですが、将来は海外展開も目指していますので、道のりは長いと覚悟しています。

 本学には「ダビンチ」XiとXがあり、3月に「hinotori」をもう1台導入するため、21年春から、神戸大学では計4台のロボットが稼働します。先端医療を提供することは大学病院のミッションであり、ロボット手術に積極的に取り組んでいきたいと思います。

─今後は。

 先進医療の推進と医療安全上の問題を考慮して、医療圏ごとに高度な設備や人員がそろった核となる病院を整え、診断・治療、手術を行う方針をとっています。教育では、チーム医療ができる規模の病院でトレーニングを行い、さまざまな現場に対応できる高度な技術を持った人材を育成してまいります。

 21年4月から学長に就任し、臨床の一線からは退きますが、何よりも力を入れてきたのが「人を遺(のこ)す」ことです。若い医師は、これから人生でいろんな場面に直面すると思いますが、人とのつながりを大切にし、感謝しながら、自分の思うように後悔のないよう、未来を切り開いていってほしいと願います。


神戸市中央区楠町7─5─1 ☎078─382─5111(代表)
https://www.med.kobe-u.ac.jp/uro/

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