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確固たる理念で地域の危機に対応

確固たる理念で地域の危機に対応

医療法人医仁会 さくら総合病院
小林 豊 病院長(こばやし・ゆたか)

2000年千葉大学医学部卒業。
国立がんセンター中央病院(現:国立がん研究センター中央病院)、
船橋市立医療センター外科医長などを経て、2015年から現職。

 さくら総合病院では、新型コロナウイルス感染症に伴う医療崩壊を防ぐため、民間病院ながら20床の専用病床を設けて対応に当たってきた。その根底にあるのは、「」の実現という病院の理念だ。

―これまでの対応は。

 行政の依頼を受け、2020年2月からPCR検査を施行してきました。入院患者については、同年4月の尾張北部医療圏の病院長会議で、公立・公的病院が受け入れることで合意。第1波、第2波は乗り切ることができましたが、11月中旬からの第3波では患者さんが急増し、公立・公的病院のコロナ専用病床が急速に埋まりだしました。

 この勢いで冬を迎えたら、各病院で対処できなくなるのではと危惧し、11月下旬に院内会議を開催。すぐに体制を整え、12月1日から専用病床を10床用意しましたが10日ほどで満床となり、同月12日からは20床に増床しました。年末から21年1月にかけ、県内の状況はかなり逼迫(ひっぱく)しました。

 当院は主に中等症を担当していますが、入院中に重症化する人もいます。本来は重症例に対応する高次機能病院へ転院させる取り決めでしたが、一時、高次機能病院の重症者病床は完全に埋まっていたため、しばらくは院内で管理せざるを得ませんでした。

 隣接していない医療圏から当院に患者さんが搬送されることもあり、医療崩壊の状態と言っても過言ではありませんでした。

―コロナ禍の病院運営で苦労されたことは。

 20年7月、回復期リハビリテーション病棟で職員4人、患者さん9人の小規模なクラスターが発生しました。救急外来と救急入院を中断し、全体の病床稼働率もしばらく低下して経営面で大打撃を受けました。

 一方、クラスターの経験が後に生きた面もあります。当時、院内感染した患者さんをゾーニングしたことは、急ピッチで専用病床をつくることに役立っています。また、回復期リハビリテーション病棟の職員が自宅待機を余儀なくされたことで、部署の垣根を越えた協力体制が構築できました。病院全体が一丸となったおかげで、以降は一度も院内感染は発生していません。職員に厳しい状況下で奮闘してもらう以上、私も指図するだけでなく、率先して行動する姿を見せなければならないという思いから、副院長とコロナ患者さんを受け持ち、土日や夜間の急変にも対応しました。

 院外での成果もありました。尾張北部医療圏内の病院長同士で20年4月以降、SNSのグループを作ってリアルタイムにコロナ関連の情報を共有しています。患者さんの受け入れ状況や対応に困った症例などを互いに発信しており、公立・公的病院と民間の病院のこのような連携は全国的にも珍しいのではないかと思っています。

―今後の展望は。

 「『』を通じて、安心安全な医療・療養環境を提供する」という理念で、これまで対応に当たってきました。感染拡大から1年が経過し、医療従事者の気合いや根性、ボランティア精神だけに頼るには限界があると感じています。国や行政には、公立・公的と比べて人材や余剰スペースなどが少ない中で患者さんの受け入れに応じている民間病院に、手を差し伸べてくれるような政策を期待します。

 コロナへの対応と同時に、地域の救急医療を維持、向上させることも重要です。現在、24時間体制で出動するドクターカーを2台運用していますが、1台が老朽化しています。コロナの影響もあり買い替えの資金が不足しており、インターネットで資金を募るクラウドファンディングを実施し、第1目標金額を達成しました。多くの支援をいただき、このような取り組みを含めて今後も「」を実現するための独自の施策を打ち出していきます。

医療法人医仁会 さくら総合病院
愛知県大口町新宮1―129
☎0587―95―6711(代表)
http://www.ijinkai.or.jp/

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