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確かな臨床力を備えた医師を育てたい

確かな臨床力を備えた医師を育てたい

福岡大学医学部消化器内科学
主任教授(ひらい・ふみひと)

1991年福岡大学医学部卒業、1997年同大学院修了。
同大筑紫病院消化器内科准教授、炎症性腸疾患センター部長・診療教授などを経て、
2019年から現職。

 消化器内科は、消化管と肝胆膵が一つの診療グループを形成する大所帯。「大学病院の使命である臨床、研究、教育の3本柱のバランスが取れた医局を作り、しっかりした診察力を備えた消化器内科医を1人でも多く育てたい」と、4月就任の平井郁仁主任教授は抱負を語った。

「ブラック・ジャック」に憧れを抱いて

 熊本県玉名郡で生まれ育った。「歯科医の父を間近に見て、幼い頃から漠然と歯科医か医師になろうと思っていました」

 医師への道を決定づけたのは、天才外科医「ブラック・ジャック」が主人公の医療漫画(手塚治虫原作)。小学校高学年から中学生のころに夢中になった。「外科医になりたい、と憧れを抱くようになりました」

 ただ、福岡大学医学部に進学後、選んだのは外科ではなく消化器内科。「急速に普及し始めた内視鏡に強い興味が湧きました」と振り返る。

専門に選んだのは炎症性腸疾患

 診療のステージは同大学筑紫病院が長かった。消化器科(現:消化器内科)に所属。専門は、クローン病など難治性の炎症性腸疾患(IBD)だ。

 上司だった八尾恒良教授(現:福岡大学名誉教授)から「クローン病の臨床研究をしないか」と誘われたのが始まり。博士号取得の論文は「Crohn(クローン)病の長期予後に関する臨床的検討」で、過去のデータを解析する、いわゆる「後ろ向き研究」だった。

 後ろ向き研究のカギはカルテや画像診断データがどれだけ残っているか。筑紫病院に通ってきていたクローン病患者は当時、数百人。1985年以降のデータが蓄積されていた。

 長期にわたって研究を続け、以来、この疾患に関係する論文は163本、著書は13冊(共著を含む)に上る。「研究は後輩が引き継いでおり、成果を世界に発信できるでしょう」。難病の克服という目標に向かい、後進を指導する。

臨床、研究、教育のバランスを取って

 およそ20年ぶりに筑紫病院から戻って半年、総勢50人が在籍する消化器内科教室の運営方針の背景には、「臨床が基本中の基本」とする平井教授の確固たる信念がある。

 「まっとうな診療をしていかないと研究がうまくいくはずがない。それさえ外さなければ、細かいことは言いません」

 もちろん研究、教育にも力を注ぐ。「それぞれの医局員の個性、違いを生かしながら、全体で臨床、研究、教育のバランスが取れているように運営をしています」と語る。

消化器内科医を地域に送り出す

 今、消化管上部(食道、胃、十二指腸)、下部(大腸、小腸)の検査から早期がんの切除まで、内視鏡での実施が可能になった。肝胆膵の検査にも内視鏡を活用する。「内視鏡による検査・治療が進化して、早期がんの発見や根治的な治療も可能になった。消化器内科医として、良い時代を歩んでくることができたと思います」

 ただ、気にかかっているのが医師の都市部への偏在。地方の医師不足だ。

 日本人の死亡原因の1位はがんで、その半数以上が消化器系のがん。内視鏡検査ができる内科医の数が十分でなく、発見が遅れる一因になっているのでは、と考えている。

 「例えば大腸がんは早期発見すれば内視鏡で治療できる可能性があります。しかし、大腸内視鏡検査を敬遠して手遅れになる人が、特に女性に多いように感じます。さらに、その検査を受けられる場が少ないエリアもある。地域格差の解消のため、1人でも多く、優秀な内科医、内視鏡検査ができる医師を育て、送り出していきたいと思っています」

福岡大学医学部消化器内科学
福岡市城南区七隈7−45−1 ☎092−801−1011(代表)
https://gastroenterology.med.fukuoka-u.ac.jp/

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