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県内外の活発な交流で積極的に学び続ける

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弘前大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科学講座
教授(まつばら・あつし)

1987年弘前大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
ノルウェー・オスロ大学基礎医学研究所留学、弘前大学医学部助教授、
同大学院医学研究科准教授などを経て、2014年から現職。

 地域のニーズにどう応えていくか。高齢者医療に対応するために嚥下(えんげ)内視鏡検査を導入するなど、ここ数年の弘前大学耳鼻咽喉科学講座は変化のさなかにある。松原篤教授は言う。「閉じこもっていてはいけない。若い医師が刺激を受け、成長できる環境をつくる」。そのために重視していることは─。

—どのような役割が期待されていると思われますか。

 地域の大学に求められるのは「この分野の医療に強い」ではなく、幅広い領域に対する高い臨床レベルだと考えています。

 医局員は、できれば複数の専門分野をもち、さまざまな場面で実力を発揮してほしい。そして臨床レベルを高めていくと同時に、研究にも従事してもらうのが理想です。

 早い時期からさまざまな学会に参加する機会を提供できるよう努めています。ぜひ海外での発表も経験してもらいたいですね。

 若い医師たちの「新しい情報を得たい」という意欲はとても高い。「地方だから」というのを言いわけにして、閉じこもるつもりはありません。

 例えば、国立がん研究センター東病院頭頸部外科科長の松浦一登先生は私の友人。今後、同院で勉強できるチャンスを増やしたいと考えています。

 また、京都大学で長年、鼻副鼻腔腫瘍、頭蓋底腫瘍の内視鏡下経鼻手術に取り組んできた中川隆之先生による頭蓋底手術の実施をはじめ、技術指導や講演で耳、鼻、頭頸部などの各領域のプロフェッショナルを青森に招いています。自分たちに足りないものを積極的に学ぶ。そんな姿勢を大切にしています。

—先生の専門領域で力を入れているのは。

 診断基準の策定に関わるなど、好酸球性中耳炎の病態解明と治療法の研究に長く取り組んでいます。

 中高年に多く見られる好酸球性中耳炎は、めまいや難聴を引き起こす難治性の疾患。さらなる病態解明に向けてモデル動物を開発し、基礎研究を続けているところです。病態の観察、検討の段階から、治療効果の研究に進み、いずれは臨床に応用できる成果として発展させたいと考えています。

 1995年に耳鼻咽喉科医や気象予報士らによって発足した青森県花粉情報研究会は青森市、八戸市、弘前市、むつ市、五所川原市でスギ花粉の飛散状況を観測。ウェブサイトで飛散開始日、飛散数の予測などを公開しています。

 さまざまな機関が各地で花粉の飛散情報を発信しています。ただ大学が中心となって原則として毎日、情報を更新している例はあまりないのではないかと思います。できるだけ「正しい生の情報」を届けることで、青森県民のみなさんに役立ててもらえたらうれしいですね。

 地域の方々を対象に私たちが実施した疫学調査の結果を見ても、花粉症を発症する割合は明らかに高まっています。しかし、青森県はアレルギー専門医、指導医の数が十分ではないとも感じています。

 日本アレルギー協会東北支部で青森県の代表世話人を務める弘前大学保健管理センター教授の 花粉症だけでなく、ハウスダストを要因とする通年性アレルギーの増加も近年の傾向です。腸内細菌との関連が考えられており、私もかつて論文を書いたことがあります。

 現在、新しいデータを活用して、当講座の医局員が論文をまとめているところです。食事などの生活習慣に介入することでアレルギーを克服できないだろうか。そんな可能性も探っていきたいと思っています。

弘前大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科学講座
青森県弘前市本町53
☎0172─33─5111(代表)
http://www.med.hirosaki-u.ac.jp/~oto/

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