九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

県内唯一の公立精神科病院 社会のニーズに応えたい

県内唯一の公立精神科病院 社会のニーズに応えたい

 山畑  良蔵 院長(やまはた・りょうぞう)
1983年鹿児島大学医学部卒業。鹿児島大学医学部附属病院神経科精神科医員、
県立鹿児島保養院医長などを経て、2013年から現職。


 入院、外来を含めた精神疾患患者数は、右肩上がり。地域移行が進み、病院や社会の対応にも変化が求められるようになっている。県内唯一の公立単科精神科病院「鹿児島県立姶良病院」の役割は。

―特徴は。

 鹿児島県内の精神科病院は51施設。民間の精神科病院が非常に充実しているので、公立病院としての役割が強く求められています。

 かつては当院を訪れる患者さんの多くが青年期から壮年期でしたが、近年は、児童思春期や老年期も増えてきました。また従来は重度で慢性期の方を中心としてきましたが、軽症で短期の入院の方も増えています。これは精神科救急を担っていることも影響しているのかもしれません。

 時間外の対応が増えているのも特徴です。高齢者だけの世帯が増加したことで、家族では患者の BPSD に対応できないという場合の入院や、急性のストレス性障害、うつ病などの病状が重く、急を要する場合など、入院患者の3割から4割は、時間外の来院となっています。

 児童・思春期の患者さんは、発達障害や虐待、いじめといった問題があるため、こども総合療育センターなどと連携して診る必要があります。自傷などの行動障害が激しい場合は、一時入院によってマネージメントしなければ命に関わります。地域医療連携室を設け、院外の保健、医療、福祉関連の行政機関や民間施設などとの情報共有も積極的に行っています。

―災害派遣、研修機関の機能も果たしています。

 当院が、被災地に精神医療チームを派遣するようになったのは、2004年の新潟県中越地震からです。東日本大震災、熊本地震の被災地にも入りました。

 鹿児島県災害派遣精神医療チーム( DPAT )が整備されたのは、2017年度のことです。現在の登録病院は、鹿児島大学と当院の2病院です。それぞれで研修もしますが、先日は、鹿児島県全体で関係する医師、看護師、保健師など含めて200人ほどが集まり、研修しました。今後もこのような研修を定期的に行う予定です。

 医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理士、薬剤師など、精神科に関連するあらゆる職種の方が学びにきます。また、看護学校、リハビリ専門学校などの学生も多く、院内の各部署で受け入れています。医師に関しては、初期臨床研修だけでなく専門医プログラムも実施しています。

 また、医療観察法に基づく指定入院・通院医療機関としての役割も担っており、研修も実施しています。この研修は、関係者をはじめとする地域の精神科医療関係者を募り、年に1回程度開いています。

 裁判員制度が始まってから、全国的に精神鑑定の件数が増えています。責任が重い仕事ですので、当院では6~7人が分担しています。精神鑑定ができる医師の養成も、われわれの役割です。そのためには、経験を積んでもらうことが必要。社会の要請に応えられる人材が育ってくれたらと願っています。

―今後の計画、展望は。

 病院の老朽化が進んでいます。現在の精神医療に合った建物にするため、改築を予定しています。新たな病棟は2020年度に建設予定。ストレスケアや児童思春期をターゲットにした、個室が多い病棟をつくる計画です。

 時代とともに患者構造や病状が変化し、地域社会の精神疾患患者に対する目も変わってきました。地域移行も進んでいます。

 私たちの役割は、まず患者さんや地域の方が困ったときに、すぐに対応できる力をつけておくこと。さらには地域住民にも、精神疾患や精神疾患がある患者さんに対する理解を深めてもらい、地域全体の対応力を上げていくことなのだと思います。

鹿児島県立姶良病院
鹿児島県姶良市平松6067
☎0995―65―3138(代表) 
http://hospital.pref.kagoshima.jp/aira/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

コメントはこちらから

メニューを閉じる