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発達障害の診療強化 暮らし支える医療を

発達障害の診療強化 暮らし支える医療を


理事長・院長 (いけだ・あつし)
1996年久留米大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院(現:広島大学病院)泌尿器科、
国立福山病院(現:国立病院機構福山医療センター)泌尿器科などを経て、2002年下永病院入職。
2014年同院長、2018年から現職。

 来年で開設40年となる精神科の「下永病院」を中心に、広島県福山市で医療・介護の計8施設を展開する医療法人「永和会」。昨年理事長に就任した池田篤司氏の下、発達障害など新たな診療ニーズにもスタッフ一丸で取り組む。備後地域の医療を支える同会の今後の展望を、池田理事長・院長に聞いた。

—診療の特徴は。

 発達障害の診療です。中でも16歳以上の「大人の発達障害」については、2016年から下永病院に専門外来を設け、専門性の高い医師が診断や治療に当たっています。公認心理師6人を置いて、連携してカウンセリングや診断のための検査を手掛けています。

 診療ニーズはとても高いと感じます。例えば、小児科で発達の課題について診てもらっていた人が大きくなると、診療の受け皿がとても限られてしまっている現状があります。大人になって初めて、発達に起因する「生きにくさ」に直面するケースもある。

 そうした人が受診できる医療機関は、この地域では多くありません。そのため、三原市や尾道市などからも受診に来られています。10代後半は思春期であり、かつ、これから社会に出るナーバスな年頃。適切なフォローが必要です。診療によって、うまく社会に出ていくサポートができればと思っています。

—高齢の患者さんに対して。

 下永病院は精神科ですが、医療法人「永和会」として、さまざまな医療機関や介護施設を持っています。これらをより効果的に連携させ、患者さんの人生のステージに応じた法人内での一貫したケアを提供していきたいと考えています。

 精神科の病院は、入院患者さんの体に何らかの合併症が起きた場合は、転院することが一般的です。

 しかし、当院では内科治療を行っています。私はもともと泌尿器科医でしたし、副院長も内科の経験が豊富です。精神の疾患から身体の合併症まで治療が可能ですし、看取(みと)りができる態勢も整えています。患者さんの家族にも安心してもらえると思います。

—スタッフの育成について。

 患者さんと「人と人」としての関わり合いを大切にする、そんなスタッフを育てたいですね。精神科は「その人が病気かどうか」を判断する基準や、最適な治療の方針がはっきりしていない面があります。患者さんの状況を幅広い視点から適切に把握する目を養ってもらいたい。私も泌尿器科と精神科という二つの科を経験したからこそ、留意できるようになったことがあります。

 患者さんのバックグラウンドを含めてその人全体を知ろうと努める。そんなスタッフこそ、「人と人」としての信頼関係を築けるのではないでしょうか。

 スタッフにスキルを磨いてもらうためには、スタッフのQOLを上げることが欠かせません。子育てをしながら安心して働ける職場づくりのため、企業主導型保育所を設けています。看護師を中心に業務効率化を進め、休日を増やしたり、残業を極力減らしたりといったことにも取り組んでいます。もちろん、現実の医療現場はなかなか厳しい面があり、改善の余地はまだまだあります。

—少子高齢化で、地域との連携も大切さを増します。

 地域に密着した医療は、永和会のモットーでもあります。地元の民生委員の方と定期的に情報交換する協議会を、10年ほど続けています。地域の住人や家族が困っている情報を吸い上げ、対応することで、ご本人や周りの方のサポートにつながります。認知症や精神の健康などをテーマにした懇話会も定期的に開き、幅広い人が集まっています。

 これからも「治療」だけでなく、地域の住民の「暮らし」にトータルで貢献していきたいと思います。

医療法人永和会 下永病院
広島県福山市金江町藁江590―1
☎084―935―8811(代表)
http://www.eiwa-kai.or.jp/

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