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症例から学び 本質を見極める

症例から学び  本質を見極める


主任教授(みつはし・あきら)

1990年弘前大学医学部卒業。
千葉大学大学院医学研究院講師、同准教授、同大学医学部附属病院産婦人科診療教授などを経て、
2020年から現職。
千葉大学大学院医学研究院特任教授兼任。

 獨協医科大学産科婦人科学教室の第5代主任教授に就いた三橋暁氏。栃木県に赴任して半年弱。ニーズをどう捉え、どう応えていくのか。

力を注ぐ 産婦人科医育成

 「婦人科腫瘍、周産期、生殖医療、さまざまな分野で地域のニーズに応えていきたい」

 全国的な傾向と同様で、栃木県でも基幹病院での産婦人科医師の確保が重要となっている。「基幹病院の産婦人科医が十分でない問題や、開業している先生の高齢化に伴う産婦人科クリニックの閉院や分娩(ぶんべん)の取りやめもあります。県内のどこに住んでいる人でも、安心して妊娠、出産できる体制を維持していくため、産婦人科医師を育成していくことが、大事な仕事の一つです」

 2021年4月には国が、若年のがん患者の卵子を治療前に採取・凍結するなどの「妊孕(にんよう)性温存療法」に対する助成を開始。多くのがん患者を診療する大学病院の産婦人科としても、求められることが増えている。産婦人科が初期臨床研修の「選択必修」科目から「必修」科目へと戻ったことも産婦人科医師育成の追い風として、研修の充実を図っていきたい考えだ。

 生命の誕生に立ち会うことができる、女性の一生に長く寄り添える、手術手技を磨くことで患者の命を救うことができる…。産婦人科の魅力はいくつもある。「産婦人科医の仕事に触れてもらえる機会が増えることは、面白さを知ってもらえるチャンスが広がるということ。魅力を伝え、教室のメンバーを増やしていきたいと思っています」。ロボット手術を導入するなど臨床面も充実させ、活気ある教室をつくっていく。

症例を見つめ学ぶマインドを

 千葉県出身。家族や親戚に産婦人科医が多い環境で育ち、自らもその道を志した。弘前大学を卒業後、生まれ故郷に戻り、千葉大学へ。現教授の生水真紀夫氏らに師事した。

 「一つの症例をとことん見つめて、病気の本質を見極めていく先生の姿勢から、研究に対するスタンスを学び、大きな影響を受けました。症例から学ぶマインドを、私も後進に伝えています」と言う。

 自身は、肥満・インスリン抵抗性を標的としたメトホルミンの子宮体がん予防、エストロゲン依存性子宮体がん発がん過程の解明などをテーマに据えて研究を続けてきた。

 「糖尿病やインスリン抵抗性が発がんに関係することを調べながら、子宮体がんの治療法の改善に向けて新たな戦略を考えています」と語る。

 千葉大学時代から、AYA世代(思春期・若年成人、15〜39歳)の妊孕性温存を目指した子宮内膜異型増殖症またはステージⅠAの子宮体がんの患者に対するメドロキシプロゲステロンとメトホルミンを併用する治験を主導。19施設が参加する多施設共同研究を、現在も責任医師として率いている。

 「獨協医科大学としても、新しい治療法の開発などに力を入れていきたい」。これまでの経験を生かし、他の施設との共同研究なども含めた研究面のさらなる充実も視野に入れている。

 趣味は、大学時代の青森県、関連病院を回っていた千葉大学時代の長野県で腕を磨いたスキー。千葉大学から獨協医科大学へ移り、「ゲレンデまで1時間半ほど。千葉大の頃は年に1度、長期休みにしか行けなか
ったスキーに行く機会が増えるかもしれませんね」と笑う。

 積み重ねた経験を、新天地で惜しみなく注ぎ込む日々。獨協医科大学産科婦人科学教室の系譜に新たなシュプールを描いている。

獨協医科大学 産科婦人科学教室
栃木県壬生町北小林880 ☎0282ー86ー1111(代表)
https://dokkyo-ob-gyn.jp/

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